パソコンやスマホのキーボード操作を煩わしく感じたことはありませんか?「サッと伝えたいのに、入力にいつも手間取る…」といった方もいるかと思います。
そんな悩みは、音声認識技術で解消しましょう。音声認識技術は、建設現場のように両手がふさがっている状況でも、話すだけで議事録作成や指示出しできるほど高性能です。
この記事では、音声認識についてわかりやすく解説します。すぐに試せる無料アプリも10選ご紹介するので、この機会に、業務やプライベートで音声認識を活用してみてください。
音声認識とは

音声認識は、人の声をテキストに変換するAI(人工知能)の技術です。一般的に、文字起こしや音声操作、声で誰かを判別する話者認識など、機械に音声を認識させるタスクの総称として使われています。
- 音声認識の仕組み
- 音声認識の歴史
①音声認識の仕組み

音声認識の仕組みは、以下の3つのステップで構成されています。
①音声入力
まず、マイクを通じてユーザーの声がデジタル信号として記録されます。
このステップでは音声分析を行い、例えば「こんにちは」と話すと、その音声の波形データがコンピュータに送られます。人間が発した声を、コンピュータが扱えるデータ形式に変換する最初のプロセスです。
②音響分析(特徴量抽出)
次に、記録された音声は「特徴量」に変換されます。例えば、同じ「あ」でも人によって声の高さが違いますが、特徴量にすれば共通の基準で扱えるため正確に認識できます。
この特徴量データをもとに、AIが母音や子音といった音の最小単位である「音素」を抽出し、その音素がどの単語に該当するかを特定します。
③認識デコーダ
最後に、この特徴量をもとにAIが文字に変換します。この最終段階で働くのが「認識デコーダ」です。認識デコーダは、以下の3つのモデルが連携して、音声を文章に仕上げます。
- 音響モデル:入力された音声データから音素(「あ」「い」などの音の区切り)を特定
- 発音辞書:音素の並びと単語を紐づけるデータベース
- 言語モデル:特定された単語を文法や言葉の自然なつながりに基づいて並び替え
この工程により、「こん」と「にちは」が繋がり、「こんにちは」という、意味の通る自然な文章が完成するのです。
音声認識の基盤となっているのは「深層学習」という機械学習の一手法です。深層学習については、下記の記事でわかりやすく解説していますので、あわせてご覧ください。
②音声認識の歴史

音声認識の歴史は1970年代に始まりましたが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。1991年頃には大学や企業で約5,000語を理解できるシステムが登場しましたが、まだ研究段階にとどまっていたのです。
越えられなかった日本語の壁
特に日本語は同音異義語が多く、認識率はわずか60%ほど。英語が90%近くまで到達していたのと比べると大きな差がありました。理想的な環境でも80%が限界とされ、長い間この壁を越えられなかったのです。
深層学習による認知度向上
転機となったのは2010年代後半です。AIの基盤である深層学習の進歩により、音声認識は一気に実用レベルへ到達。GoogleアシスタントやAmazon Alexaといった音声アシスタントが普及し、身近な最新技術として広く認知されるようになりました。
そして今、この音声認識技術の進化を支え、加速化しているのが生成AIです。生成AIを使うと、文字起こしの翻訳・リライト、要約など、あらゆる作業を一つのツール内で完結できます。
音声認識機能、および生成AIは、製造業・建築業のDX促進にも大いに活用されています。
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音声認識の無料アプリ10選

無料で使える音声認識アプリを厳選して10種類ご紹介します。ここでは、それぞれのアプリの主な特徴、料金、対応OSを比較しやすいように一覧でまとめました。
| ツール名 | 主な特徴 | 料金 | 有料プラン | 備考 | 動作環境 |
|---|---|---|---|---|---|
| Googleドキュメント | 音声入力でリアルタイム文字変換 10億ダウンロードの人気音声認識アプリ |
無料 | なし | 制限なし | Web |
| Google Gemini | 音声入力&ファイル文字起こし対応 会話式AIでその場でリライト可能 |
無料 | 2,900円/月 | 制限なし | iOS/Android/Web |
| Microsoft Transcribe | 翻訳を主とし、日本語音声表示にも対応 サポート終了のGroup Transcribeと統合 |
無料 | なし | Webブラウザ対応 | iOS/Android |
| recoco |
タグ検索付き・メモ追加機能 |
無料 | なし | iOS限定 | iOS |
| ユーザーローカル音声議事録 |
ネガティブ・ポジティブ&5つの感情分析 |
無料 | なし | ブラウザベース | Web |
| Voice Recorder & Voice Memos |
標準・音楽・会議など複数のメモ機能を搭載 |
無料 | なし | Android | Android(iOS不明) |
| 音声メモ |
シンプルなインターフェイスで使いやすい |
無料 | なし | Android限定 | Android |
| Speechnotes |
きちんと話せば小声でも録音・表示可能 |
無料 | なし | Google音声採用 | Android |
| Speechy Lite |
無料は10回程度まで無制限 |
制限付き無料 | 880円/月 | 方言の認識難 | iOS |
| Notta |
無料プランは最初の3分のみ対応 |
制限付き無料 | 1,185円/月 2,508/月 |
AI要約機能あり | iOS/Android/Web |
音声認識を使った文字起こし方法
続いて、実際に音声認識を使って文字起こしをする方法を解説しましょう。ここでは、人気の音声認識アプリ・Googleドキュメントを使い、2つの方法での音声認識操作を見ていきます。
- スマホでの方法
- パソコンでの方法
①スマホでの方法

まず、スマホを使った音声認識の文字起こし方法を解説します。ここでは、Googleドキュメントアプリを使うため、インストールを事前にしておきましょう。
- Googleドキュメントアプリにログイン
- 画面右下の「+」アイコンをタップ
- 「新規ドキュメント」をクリック して、キーボードを表示
- 表示されたキーボード上にあるマイクのアイコンをタップ
- 「話してください」と表示されたら、話し始めると音声がテキストに変換
- 録音を終了する際には、再度マイク型アイコンをタップ
- 話し終えても録音は自動で終了
これで、スマホを使った音声認識の文字起こし方法は完了です。
②パソコンでの方法

続いて、パソコンでの音声認識による文字起こし方法をお伝えしましょう。ここでも、先ほど同様にGoogleドキュメントを使います。
- Googleドキュメントにアクセス
- 「空白のドキュメント」をクリック
- 画面上部の「ツール」をクリック
- 「音声入力」をクリック
- 画面向かって左上にマイク型アイコンが表示
- マイクをクリックして音声認識・文字起こしがスタート
- 会話終了、もしくはマイクアイコンクリックで音声認識・文字起こし完了
パソコンを使えば、音声入力と同時にキーボードやマウスで編集ができるので、その場で細かい修正をしたい場合に便利です。
音声認識を使うメリット
ここでは、音声認識を使うメリットについて見てみましょう。
- 言葉をすぐに文字として記録
- 複数人での会話にも対応
- ライティング作業の効率化
①言葉をすぐに文字として記録
音声認識のメリットは、その場で言葉をすぐに文字として記録できることです。
音声認識が一般的になる前は、取材や会議の記録といえば、ICレコーダーやテープレコーダーで音声を録音し、後から手動で、もしくは専用のソフトを使って文字に起こすのが一般的でした。つまり「録音→再生しながら入力」という2工程が必要だったのです。
しかし、音声認識ツールを使うと、この一連の工程を1回で、かつ自動で実行。作業工程を簡易化したいケースにおいて、音声認識は大きなメリットをもたらします。
②複数人での会話にも対応
複数の話し手がいる場合でも、音声認識ツールは大きなメリットを発揮します。
発話者を識別する機能があれば、会議やインタビューのような場面で、誰が話しているかを区別しながら文字起こしが可能です。これにより、議事録がグッと分かりやすくなります。
さらに、声のトーンから感情を分析するツールを使えば、言葉の裏にある本音まで読み解けます。例えば、顧客対応の記録作成では、相手の感情を読み解くのに役立つでしょう。
③ライティング作業の効率化
ライティング作業も、音声入力を使えば、声で話すだけで文章化できるため、キーボード入力の手間から解放されます。特に、ブラインドタッチに慣れていない方にとって魅力的な機能です。
「会話でテキストを作成することに抵抗がある」という方もいるかもしれません。しかし、多くのツールは無料で試せるため気軽に練習でき、さらに、GeminiのようなAIツールを使えば、文字起こしした文章をその場でリライトすることも可能です。
建設業界における音声認識の活用事例

建設業界でも音声認識技術の活用が進んでいます。
ここでは、大成建設株式会社が建物の改修診断に音声認識システムを取り入れた事例を紹介しましょう。
まずは、以下で要点をご確認ください。
| 項目 | 概要 |
| 課題点 |
|
| 対策 |
|
| 導入効果 |
|
では、詳しく解説していきます。
- これまでの課題
- 音声認識で安全性もアップ
- 移動中の時間も有効活用
①これまでの課題
大成建設株式会社では、現場の診断情報の管理・記録の効率化・正確性が課題でした。
従来の診断作業では、作業員が紙の図面に手書きで記録し、デジタルカメラで写真を撮る方法が一般的でしたが、このやり方では図面と写真の対応関係が分かりにくく、時間がたつと情報が正しく整理できなくなっていたのです。
同時に、狭い場所や高所で多くの機材を持ち込む必要があり、安全面にも不安がありました。
②音声認識で安全性もアップ
新しいシステムでは、タブレット端末とヘッドセットマイクを使い、音声だけで図面確認や写真撮影、記録が可能になりました。ハンズフリーでの作業は、安全性向上にも貢献。加えて、図面と写真を自動で結びつけて保存できるため、人的ミス抑制にも貢献しています。
同時に、建設現場向けに専用カスタマイズされた音声認識エンジンを導入することで、専門用語や現場特有の表現にも対応し、精度の高い入力を実現しました。
③移動中の時間も有効活用
また、一次診断の現場では、アプリ内の図面を確認しながら音声で記録や撮影を行えるようになり、業務効率は約30%向上しました。図面と写真の紐づけが自動化されたことで、誤認や抜け漏れといったミスも大幅に減少しています。
さらに、オフライン環境でも使用できるため、現場で要点だけを入力し、移動中に内容を整理するなど時間の有効活用も可能になりました。このように、音声認識技術は、建設業界で進むDX化にも大きく貢献しています。
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物流業界でもDX化は加速化しています。以下の記事で最新の物流DXを解説しているので、合わせて他業種でのDX化もご参照ください。
音声認識についてまとめ
音声認識機能は今や身近な技術で、生成AIの進化によってさらに発展しています。手軽に使える無料ツールも多くあるため、気軽に試せるのも魅力の一つです。
ぜひこの機会に、様々な業界で進められるDX化にも貢献する音声認識機能について理解を深め、その効率的な機能を個人の作業、ビジネスの現場に導入してみてください。