経済産業省はDXを「データとデジタルで価値のつくり方を変革すること」と定義しています。この定義を最も体現している企業群が、経産省が毎年選定する「DX銘柄」です。
本記事では、最新のDX銘柄に選出された31社をランキング形式で紹介します。10位ごとに一覧でまとめているので、「DXの成功企業を知りたい」という方はぜひ参考にしてください。
DX銘柄の企業とは?
DX銘柄の企業とは、経済産業省と東京証券取引所が毎年選出する「DXを先進的に実践している企業」のことです。DX銘柄は毎年春(4月~5月)に発表され、日本で最もDXが進んでいる企業を知る指標として注目されています。
もともと2015年から「攻めのIT経営銘柄」としてIT活用が優れた企業を選定していましたが、2020年からはビジネスモデルや組織をデジタルで変革できている企業を「DX銘柄」として評価する仕組みに発展しました。
DX銘柄の主要情報
続いて、DX銘柄の主要情報をまとめた一覧表を見ていきましょう。
| 選定主体 | 経済産業省、東京証券取引所 |
| 目的 | デジタルで企業価値を高める先進企業を表彰 |
| 選定基準 |
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| 選定数(2025年) |
|
まもなく訪れる2026年5月頃にも、同様に最新の選定企業(DX銘柄2026)が公表される可能性が高いと考えられます。
DXを進める企業が増える一方で、社内にDXを担う人材が不足しているケースも少なくありません。「自社で実務で使えるスキルを育てたい」そんな企業様はDX研修・人材育成サービスがおすすめです。実務ベースの多彩な研修からニーズに合わせて柔軟にプランニングいたします。
DX銘柄の企業ランキング31

ではさっそく、DX銘柄の企業ランキングをご紹介しましょう。ここでは、2025年度選出された最新のDX銘柄31企業を、上位企業から3グループに分けてお伝えします。なお、今回DXグランプリを獲得したのは上位2企業「SGホールディングス」「ソフトバンク」です。
- 1位~10位|DX推進の先進企業
- 11位~20位|業界内でDXが進む企業
- 21位~31位|DXに取り組む成長企業
1位~10位|DX推進の先進企業
まずは、DXの取り組みが特に進んでいる1位~10位の企業を一覧で見ていきましょう。ここでは、上位5つの企業をピックアップして、DXへの具体的な取り組み事例もお伝えします。
| 順位 | 企業名 | 業種 | 主な内容 |
| 1位 | SGホールディングス | 陸運業 | 物流のデジタル化・配送最適化 |
| 2位 | ソフトバンク | 情報通信 | AIを活用した事業モデル強化 |
| 3位 | 大成建設 | 建設 | 建設プロセスのAI活用 |
| 4位 | 味の素 | 食品 | 全社的なDX基盤の導入 |
| 5位 | ワコールホールディングス | 繊維 | 3Dデータによる個別サービス |
| 6位 | 旭化成 | 化学 | 工場新設不要にするほどの効果 |
| 7位 | 富士フイルムホールディングス | 化学 | 製品・サービス価値向上を実現 |
| 8位 | 第一三共 | 医薬品 | データ活用で新薬開発を加速化 |
| 9位 | コスモエネルギー | 石油 | 全社員参加型でDXを促進 |
| 10位 | ブリヂストン | ゴム | 大規模データによる生産性向上 |
第1位. SGホールディングス
今回DX銘柄第1位に選出された「SGホールディングス」は、陸運業として初の「DXグランプリ2025」を受賞した企業です。佐川急便を中心に物流事業を展開し、近年は物流DXで培ったノウハウを他産業にも広げています。その一つが、建設現場の資材管理をデジタル化したDX事例です。建設業界では、
- 発注・検品・在庫管理がアナログ
- サプライヤーごとにラベル規格がバラバラ
- 現場の仕分け作業が負担
といった課題がありました。そこで同企業はラベル読み取りの自動化、統一ラベル発行を可能にするシステムを開発。資材のステータスを一元管理できるようになり、仕分け作業の削減や施工効率の大幅改善を実現しています。
参照:物流ノウハウ×DXで建設現場の作業効率化を実現 SGホールディングス
第2位. ソフトバンク
DX銘柄第2位に選出された「ソフトバンク」は、同社として初めてDXグランプリ企業にも選ばれました。情報通信企業で有名ですが、近年はAIを軸にしたDXを加速させています。具体的には、
- OpenAIへの巨額出資と連携
- 国産LLM「Sarashina」の開発
- 全社員向けのAI活用推進
- 国内2カ所でのAIデータセンター整備
などです。これらの取り組みは、AI分野で諸外国に遅れを取る日本企業の課題に向き合うものであり、日本のAI・DXをけん引する存在として大きな役割を果たしています。
DXの日本の遅れ、現状については以下の記事で解説しています。2021年のIPAのDX白書から、2025年のDX動向までデータを基に順を追ってお伝えしているので、ぜひ現在の日本のDX推進について理解を深めてください。
第3位. 大成建設
DX銘柄第3位に選出された「大成建設」は、初のDX銘柄入りとなりました。同企業は「TAISEI VISION 2030」のもと、AIを軸に課題解決を進めています。具体的には、
- AI活用ルールの不在→AIガバナンス・基本方針を整備
- 紙文化・非構造化データ→データ基盤「Taisei-DaaS」を構築
- 技術・知見の分散→企業内生成AIや設計支援AIで知識を共有
といったDX施策です。設計から施工・管理までAIを適用し、生産性向上と技術継承を両立する建設DXを実現しています。
第4位. 味の素
DX銘柄第4位に選出された企業「味の素」は、DXを企業変革の加速と位置づけ、全企業でデジタル活用を進めています。具体的には、
- 全社データの分散→データ基盤「ADAMS」で一元管理
- 連携不足→DX推進委員会と小委員会で連携強化
- デジタル活用の個人差→全社員用生成AI「AJI AI Chat」導入
といった取り組みです。これにより、オペレーション効率の向上や意思決定の高度化が進み、食と健康領域でのDXを加速化させています。
参照:味の素グループ
第5位. ワコールホールディングス
2年連続でDX銘柄に選定された企業「ワコールホールディングス」は、中核事業会社ワコールで、デジタル技術を活用し、新たな顧客体験を提供しています。具体的には、
- 対面接客のストレス→3D計測「SCANBE」で非接触計測
- 個別対応→3Dデータ分析「わたしに合うブラ診断」の提供
- 他業種との協業→AIを用いた「わたしを知る骨格診断」
といった取り組みを進めています。リアルとオンラインを横断したサービスは、インナーという個別性とプライバシーが求められる領域で、より深く長く顧客とつながる価値創出につながっています。
参照:ワコールホールディングス
11位~20位|業界内でDXが進む企業
次に、11位~20位までのDX選定企業を見てみましょう。ここでは、鉄鋼と海運業で大きな活躍を遂げた「JFEホールディングス株式会社」「日本郵船株式会社」の2社についても別途解説します。
| 順位 | 企業名 | 業種 | 主な内容 |
| 11位 | AGC株式会社 | ガラス/土石製品 | AI活用で課題解決時間短縮 |
| 12位 | JFEホールディングス株式会社 | 鉄鋼 | 焼却炉の運転をAIで自動化 |
| 13位 | ダイキン工業株式会社 | 機械 | 社内大学でデジタル人材育成 |
| 14位 | 三菱重工業株式会社 | 機械 | ΣSynXを軸に全社でDX推進 |
| 15位 | 三菱電気株式会社 | 機械 | Serendieで全社DXを展開 |
| 16位 | 日本電気株式会社(NEC) | 電気機器 | SAP刷新でグローバル基盤統合 |
| 17位 | 株式会社デンソー | 輸送用機器 | ノーコード/ローコード技術活用 |
| 18位 | 株式会社アイシン | 輸送用機器 | AI×IoTで新移動サービス創出 |
| 19位 | 株式会社アシックス | その他製品 | バーチャルスポーツ・DISC開発 |
| 20位 | 日本郵船株式会社 | 海運業 | 曳舟プロジェクトで人的コスト削減 |
第12位. JFEホールディングス株式会社
DX銘柄に選定された企業「JFEホールディングス株式会社」は、グループ全体でデジタル技術を活用し、社会課題の解決を目指しています。具体的には、
- 製造システム刷新による老朽化への対応
- 現場経験者を含む社内DX人材の育成・確保
- ごみ焼却自動運転AI「BRA-ING」の導入拡大
といった施策を進めています。特に「BRA-ING」は、焼却炉の運転をAIで自動化することで、省人化と環境負荷低減に貢献しており、2020年から2022年にかけて導入数が着実に増加しています。
第20位. 日本郵船株式会社
DX銘柄に選定された企業「日本郵船株式会社」は、グループ全体で曳船(タグボート)事業の効率化と現場改善に取り組んでいます。具体的には、
- 労務管理のデジタル化(TRANS-Crew)
- 点検・整備記録の電子化(カミナシ)
- スマートデバイスによる現場入力の効率化
といった施策です。特に、「TRANS-Crew」と「カミナシ」は、手当計算や記録確認の手間削減、船上で入力した情報のリアルタイムでの陸上共有といった企業成果を上げています。これにより、現場作業のムダが減り、企業の人的コスト削減にもつながっています。
参照:日本郵船グループの曳船DXプロジェクト~未来の海運を支える革新~
こうした企業のDX推進の背景には、物流業界・企業全体で深刻化する人材不足という社会的課題があります。以下の記事では、物流業界の人材不足の現状やその打開策を解説しているので、あわせてご覧ください。
21位~31位|DXに取り組む成長企業
DX銘柄では、上位企業だけでなく、中位層にも独自の強みを持つ企業が多く選定されています。ここでは、21位から31位までの企業について、業種ごとの特徴や注目すべきDX施策を簡潔にまとめました。
| 順位 | 企業名 | 業種 | 主な内容 |
| 21位 | 三菱倉庫株式会社 | 倉庫・運輸関連業 | ロボット・AIでサービス高度化 |
| 22位 | KDDI株式会社 | 情報・通信業 | 生成AIで業務変革を推進 |
| 23位 | 双日株式会社 | 卸売業 | 全事業でのデータ活用 |
| 24位 | 株式会社ミスミグループ本社 | 卸売業 | デジタル活用で調達高度化 |
| 25位 | アスクル株式会社 | 小売業 | 全プロセス一貫管理・最適化 |
| 26位 | 三井住友フィナンシャルグループ | 銀行業 | 顧客課題に基づく金融サービス |
| 27位 | ふくおかフィナンシャルグループ | 銀行業 | 国内初のデジタルバンク創設 |
| 28位 | プレミアグループ株式会社 | その他金融業 | 自動車×金融で事業モデル強化 |
| 29位 | 株式会社クレディセゾン | その他金融業 | 全社AI活用による業務効率化 |
| 30位 | 三菱地所株式会社 | 不動産業 | デジタルで収益・生産性向上 |
| 31位 | H.U.グループホールディングス株式会社 | サービス業 | 最適化したヘルスケア環境提供 |
参照:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄) (METI/経済産業省)
DX銘柄の企業から見る成功の共通点

DX銘柄に選ばれている企業を見ていくと、業種は違っても、DXの進め方にはいくつかの共通点があります。
- データを現場で有効活用している
- 生成AIを実務レベルで活用している
- DX銘柄企業に共通する強さとは
データを現場で有効活用している
DXの成果は、データ整備ができているかどうかで大きく変わります。DX銘柄企業は、データを「集めるだけ」で終わらせず、現場で使える形にしている点が共通しています。
例えば、味の素は、全社データを一元管理することで、意思決定のスピードと精度を高めました。大成建設は紙中心の業務をデータ化し、AI活用の土台を整備。ミスミやNECも、分断されていたデータを統合し、業務改善や高度化につなげています。
生成AIを積極的に活用している
DX銘柄企業では、データ基盤の整備にとどまらず、生成AIを実務に組み込む動きが広がっています。例えば、クレディセゾンは全社員に生成AIを展開し、「AIワーカー化」を推進しました。
ソフトバンクは国産LLM「Sarashina」を開発し、事業モデルそのものの再構築に挑戦しています。大成建設も社内向け生成AIを導入し、設計支援や知識共有の効率化を実現しています。
DX銘柄企業に共通する強さとは
このようにDX銘柄企業の多くは、「データ基盤を整え、生成AIで価値を伸ばす」という流れを確立しています。
IT導入・デジタル化を基盤に、さらにデータと生成AIを組み合わせて成果につなげている点こそが、現在のDX銘柄企業に共通する強さだといえるでしょう。
DX銘柄の企業が抱える「人材不足」という課題
DX銘柄の企業がDXを推進する背景には、社会全体で深刻化する「人材不足」という課題が潜んでいます。
日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少
総務省でも、日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに減少を続けており、2050年には、2021年から29.2%減少すると試算しています。
こういった少子高齢化の進行により、今後は多くの業界で「必要な人手を確保すること自体」が難しくなっており、特に物流や建設などの現場では、基幹人材の減少によって業務の維持が限界に近づいています。
少人数でも回る仕組みづくりが必要
人が集まらず、離職も多い中で、従来のやり方を続けるだけでは事業が回りません。そのためDX銘柄の企業は、人を増やすのではなく、データやデジタルで業務を支え、少ない人数でも回る仕組みづくりを進めています。
DXは成長戦略というだけでなく、人材不足の時代を乗り切るための重要な経営手段になっているのです。
プロのサポートで自社に最適なDX人材を育成しよう!
こうした人材不足の深刻化を踏まえると、現代の企業には「DX人材を自ら育てる」ことが重要であるとわかります。
DX研修・人材育成サービスは、まず「DX技術知識・技能レベルチェックサービス」で社員のスキルを可視化し、その後のアイデア創出やDXの定着まで一連でサポートします。DXに初めて取り組む企業でも、自社に合った形で無理なくDXを進められるサービスです。
DXの企業についてまとめ
DXは大企業だけでなく、中小企業にも広がり、業務効率化や新たな価値創出に取り組む動きが加速しています。DXは、企業の規模を問わず自社の課題に合わせてデジタル活用を進めることが、成功への近道であり、持続的な成長につながる秘訣といえるでしょう。