「DXユーザー体験白書2026」では、企業の約半数がDXの進捗や効果を全社で把握できていない実態が明らかになりました。その背景には、部門ごとにDXの捉え方や情報の粒度が異なり、DXの意味自体が社内で統一されていないという課題があります。
本記事では、DXの意味や定義をわかりやすく解説します。DXの意味の変遷と最新の解釈、業界ごとの意味、使い方や例文までお伝えするので、ぜひこの機会に「DX」の意味を正しく理解し、自社のDX推進に活かしてください。
DXの意味・定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、データやデジタル技術を活用し、顧客目線で新たな価値を生み出し、企業の仕組みや文化を変えていく取り組みを意味します。
DXを進めるうえで重要なのは、企業が「何のために存在するのか」という理念や、5〜10年後の理想像です。その理想と現状のギャップを埋めるためにデータと技術をどう活かすか、という点にDXの意味と本質が集約されています。
(Transの略語として「X」が定着しているため「X」と表現)
経済産業省が示すDXの意味・定義
経済産業省はDXの意味を、以下のように定義しています。
デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って顧客目線で新たな価値を創出し、そのためにビジネスモデルや企業文化の変革に取り組むこと
引用:経済産業省「デジタルガバナンスコード 実践の手引き」
この意味を踏まえ、企業の経営者が取るべき行動として、以下のような例を挙げています。
- 顧客・地域・従業員に選ばれる存在を目指す
- 生産性向上や従業員の所得向上
- 基幹システム刷新のためのIT投資
- サプライチェーン全体のデータ連携
経済産業省が示すDXの意味を知ることで、DXの具体像が浮かび上がり、より適切な方向性、実行への道筋が見えてきます。
IT化との違い
DXとIT化は、対応する業務範囲が異なります。経済産業省も、DXを「デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく」と定義し、IT化とは別物であることを示しています。まとめると、
- DX:デジタル化を起点に業務全体を変革
- IT化:業務を効率化するためのデジタル化
という違いがあります。混同されやすい言葉ですが、目的も、カバーする範囲もまったく異なる概念だと理解するとスムーズです。
DXの誤解で起きる失敗
DXの意味を正しく理解できていない企業では、次のような「DXが進まないパターン」が起こりがちです。
- AI導入が目的化(意味・意義を理解せずAIを使う)
- DXの仕組み化不足(役割が決まらず動かない)
これらの失敗例は、経済産業省も「DXが進まない典型例」として挙げている内容です。このように、DXの意味を取り違えると、取り組みが空回りし、本来得られるはずの価値を生み出せなくなってしまいます。
DX人材を育成して効率的にDXを進めよう!
DXの意味を正しく理解したら、次のステップとして「実務で動けるDX人材育成」に取り組みましょう。DX研修・人材育成サービスは、「DX技術知識・技能レベルチェックサービス」で社員のDXスキルを可視化し、最適な研修を個別にプランニング、DX定着支援まで一貫してサポートします。担当コンサルタントが最後まで親身に伴走するため、これからDXを本格的に進めたい企業様にも最適です。
以下の記事では、DX人材の育成方法をわかりやすく解説しています。DX推進に役立つロードマップも紹介しているので、DX人材育成に取り組む前にぜひチェックしてみてください。
DXの意味の変遷と最新の解釈

続いて、IPA(情報処理推進機構)が公表してきたDX白書2021から、最新のDX動向2025年までたどりながら、最新トレンドに至るまでDXの意味の変化を追っていきます。
| 年度 | DXの意味の傾向 | 取組率 | 特徴・背景 |
| 2021年 | DX=IT化中心(遅れを埋める段階) | 56% |
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| 2023年 | DX=効率化中心(変革は弱い) | 69.3% |
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| 2024年 | DX=成果重視(差が広がる) | 73.7% |
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| 2025年 | DX=経営変革(定着の段階) | 77.8% |
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2021年|遅れているデジタル化への対応
DX白書2021から見えるDXの意味は、「欧米に比べて遅れている状態を何とかする」という危機対応型のものでした。
欧米との差が大きかった日本企業の現状
当時、日本企業のDX取組率は56%、米国の79%とは大きな差がありました。この時期、日本企業はコロナ禍といった外部環境の変化をビジネスチャンスとして捉える力が弱く、DXは攻めの経営というより、遅れを取り戻すための取り組み、レガシーシステム(古い基幹システム)からの脱却として捉えられていました。
デジタル化の遅れと人材不足が深刻
また、デジタル化やアジャイル開発(短サイクル開発)の導入も低水準で、特に深刻だったのが、DX人材の量・質の不足と、リスキル方針の欠如です。全社横断のDX戦略や、経営層を含めたITリテラシー向上の必要性が強く指摘されていました。
2023年|効率化で成果・変革では停滞
DX白書2023では、日本企業のDX取組率は69.3%まで上昇し、米国(77.9%)との差は縮まりました。DXの意味が「やるべき取り組み」として広く認識され始めた時期といえます。
全社戦略の不足と地域・中小企業の遅れ
一方で、全社戦略に基づくDXの割合は、日本が54.2%、米国は68.1%と依然差がありました。特に中小企業や地方企業でDXが遅れており、地方中小企業で「商圏拡大」にDXを活用できている割合は5.4%(東京21.3%)にとどまっています。
変革は停滞・経営層の理解も不足
特徴的なのは、デジタイゼーションや業務効率化では約80%が成果を出している一方、新規事業創出やビジネスモデル変革は20%台に低迷し、DXの意味が「変革」には至っていない状況が浮き彫りになりました。さらに、経営層のITの理解は日本では4割弱、米国では8割と大きな差があり、DXの意味と持続性が課題として認識されるようになります。
2024年|広がった一方で成果の差は顕著
DX動向2024を見ると、この時期はDXの意味が「成果につなげること」へとシフトし、DX取組率も73.7%まで伸びています。しかし同時に、DXの意味を理解し、成果につなげる企業差がはっきり分かれはじめます。
企業規模によるDXの進み方に大きな差
例えば、従業員1,001人以上の企業では取組率が96.6%、100人以下の企業では44.7%のように、DXの意味の理解度が企業規模による格差として表れました。業種別でもDXの意味の理解に差が表れ、金融・保険(97.2%)や製造業(77.0%)、サービス業は60.1%という結果です。
成果は伸びたが海外との差は依然大きい
DX成果を出している企業は64.3%と改善はしたものの、米国の89.0%には大きく及びません。成果企業ではIT見識のある役員の割合が高く、経営層がDXの意味を理解しているかどうかが、成果を分ける要因となっています。
参照:IPA DX動向2024
2025年|DXは普及、意味は経営変革へ
DX動向2025を見ると、同調査のDX取組率は77.8%に達し、この時期のDXの意味は「取り組むこと」から、「経営変革として定着させ、継続的に成果を生むこと」へと大きく移行していることがうかがえます。
業種・企業規模で意味の理解差が広がる
反面、企業規模別に見ると、従業員1,001人以上の企業では取組率が96.1%である一方、100人以下の企業では46.8%にとどまり、DXの意味の理解度の差は継続しています。
業種別では情報通信が8割超と高水準である一方、サービス業は6〜7割にとどまりました。未着手の中小企業では「メリットが分からない」「知識不足」が多く、DXの意味が十分に共有されていないことがうかがえます。
成果を左右するのは経営層のデジタル見識
とはいえ、最新調査においても、DXで成果を出している企業は日本では6割弱にとどまり、米国・ドイツの8割超には及びません。経営者のデジタル見識も、米独の7割超に対して日本は40.2%です。現在は、経営層がDXの意味をどこまで理解し、意思決定に落とし込めているかが問われる時期といえるでしょう。
参照:IPA DX動向2025
業界別のDXの意味
DXは「デジタルで価値を生み出し、仕組みを変革すること」という意味では共通していますが、業界ごとに変革する内容が異なります。ここでは、各省庁が示す内容をもとにした、業界別のDXの意味をお伝えしましょう。
- 医療DX|厚生労働省
- 教育DX|文部科学省
- 金融DX|金融庁
- 建築・都市DX|国土交通省
医療DX|厚生労働省
医療DXの意味は、医療・介護の現場でバラバラに扱われてきた情報を一つにつなぎ、予防から診療、介護までをスムーズにつなぎ、より良い医療を提供する仕組みのことです。医療DXの意味を支えるのは、
- 電子カルテの標準化
- 全国医療情報プラットフォームの創設
- 診療報酬改定DX
の3本柱です。医療の質を上げ、現場の負担を減らし、国民の健康増進を図ることが医療DXの意味です。
教育DX|文部科学省
教育DXの意味は、GIGAスクール構想により教育現場をICT(情報通信技術)化し、学びの在り方そのものを変えることです。例えば、
- 学生1人1台端末
- デジタル教科書
- 教育データの活用
によって、「みんな同じ授業」から「一人ひとりに合った学び」へと転換していきます。経験や勘に頼る指導ではなく、学習データをもとに必要な支援を早期に把握し、教育の質を高めることが教育DXの意味です。
金融DX|金融庁
金融DXの意味は、顧客の行動やニーズをデジタルで把握し、必要なサービスを最適なタイミングで届ける金融の仕組みです。例えば、
- 静的な情報(年齢、住所、職業など)
- 動的な情報(アプリの利用状況・購買行動など)
なども活用することで、潜在顧客のニーズにも応えられます。また、安全性を確保するためのITガバナンス強化も行い、金融サービスの提供方法そのものを変えることが金融DXの意味です。
建築・都市DX|国土交通省
建築・都市DXの意味は、都市や建物を3Dデータとして再現し、街全体をデジタル上で可視化する取り組みです。具体的には、デジタルツイン化された都市データを活用することで、
- XRを用いた不動産取引
- 災害シミュレーション
- 低未利用地の把握
などが可能となり、安全かつ効率的な都市づくりにつながります。国土交通省は2028年度の社会実装を目標に、令和7年6月にロードマップを改訂し、建築・都市の管理や計画手法そのものを変革しようとしています。
建築DXの意味を成果につなげる人材育成サービス
「建築DXの意味を理解し、本気で改革を進めたい」という場合、まずは現場でデジタルを扱える人材を育てる準備から始めましょう。
DX研修・人材育成サービスは、建築・製造領域に精通したDXコンサルタントが対応するDXトータル支援サービスです。それぞれの企業の状況を事前にヒアリングし、短期〜中長期までそろえた豊富な研修から、ニーズに合わせて柔軟にプランニングいたします。
DX人材育成の具体的な成功事例を見ると、そのポイントが見えてきます。以下の記事では、DX人材育成に成功した企業の事例を複数ご紹介していますので、人材育成が課題になっている企業様はぜひご一読ください。
DXの意味を使い方から理解する

続いて、ビジネスシーンでのDXの使い方を通じて、DXの意味を理解してみましょう。ここでは、3つの具体的なシーンと例文で紹介するので、それぞれ意味を考えながらご参照ください。
- 新しい顧客にアプローチする際の使い方
- 新しい売り方をつくる際のDXの使い方
- 業務を効率化する際のDXの使い方
①新しい顧客にアプローチする際の使い方
まずは、「デジタルで価値の届け方を変える」というDXの意味を、そのまま体現する典型的な使い方から見てみましょう。
- DXを進めたらオンライン経由の問い合わせが増え、新しい顧客層を開拓できた。
- DXの取り組みによって、接点のなかった人たちにサービスを知ってもらえた。
②新しい売り方をつくる際のDXの使い方
DXの意味の核心「ビジネスモデルの変革」を表現する際にも、DXという言葉を用います。
- オンライン買取という新サービスは、DXの取り組みがきっかけで生まれた。
- スーパーで自動レジが普及したのは、身近で分かりやすいDXの例だ。
③業務を効率化する際のDXの使い方
DXの意味には「業務プロセスの変革」も含まれるため、デジタル化による効率化の場面も使われやすい文脈です。
- DXの取り組みの一つに、在庫管理の自動化を含めたい。
- DXによって、少人数でも回る業務体制を構築できた。
DXは、ビジネスシーンにおいて、新規顧客の開拓、新しい売り方の創出、業務効率化という意味で日常的に使われています。「DXの意味がピンとこない」という場合は、こうした具体的なビジネスシーンでの使われ方から理解してみてください。
DXの意味についてまとめ
DXには、デジタルやデータを活用して、新しい時代に適した価値を生み出すという意味があります。業界ごとに形は違っても、DXの意味の本質は同じです。
日常のビジネスでDXという言葉を使う際、意味を正しく理解していないと誤解を生むことがあります。ぜひ本記事を通じて、DXの正しい意味を理解し直してみてください。