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【2025】ビッグデータとは?簡単に解説!総務省の見解・AIとの関連・身近な例も紹介

一般的なデータ処理ソフトウェアでは扱うことが困難なほど、巨大かつ複雑なビッグデータ。

企業や組織がこれを分析し傾向をつかむことで、ビジネスにおける画期的な発見や、社会的な課題(犯罪防止、交通最適化など)を解決へと導くことができます。

本記事では、ビッグデータの基本から総務省の見解、AIとの関連や身近な活用事例までわかりやすく解説します。DXの基盤技術でもあるビッグデータを、ぜひこの機会に一緒に学びましょう。

ビッグデータとは?

ビッグデータとは、ビジネスや社会に「新しい価値」を導き出す膨大な情報群のことです。

「ビッグデータ」というと、その名の通り「大量のデータ」をイメージするかと思います。しかし、ビッグデータは、この量的な意味も含め、「3V」といわれる以下の3つの要素が揃っていることが条件となります。

  • Volume(量)→データの規模が極めて大きいこと
  • Variety(種類)→テキスト、画像、IoT機器など、データ形式が多様であること
  • Velocity(頻度)→データがリアルタイムで高速に生成・取得されること

消費者の行動を予測し、より便利な生活体験を提供してくれるのは、これらの3つのデータを分析するからこそ実現できるのです。

総務省の見解

総務省の「情報通信白書」によると、ビッグデータについて以下の様に定義しています。

ビッグデータとは「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」
ビッグデータビジネスとは「ビッグデータを用いて社会・経済の問題解決や、業務の付加価値向上を行う、あるいは支援する事業」

引用:総務省|平成24年版 情報通信白書

つまり、総務省は、データが社会やビジネスの課題を解決し、付加価値を高める「手段」であると示しています。加えて、データの活用目的と質こそが本質であり、量の大きさだけを指すのではないとも強調していました。

この文書では、最後にデータの利用者と支援者それぞれの観点から特徴を述べた上で、ビッグデータに共通する特徴は多量性、多種性、リアルタイム性であるとまとめていました。

ビッグデータを扱う思考法

ビッグデータ分析は、Pythonなどの「計算処理」よりも、その前の「思考」が重要です。
データの本質は「意味を持つ情報」なので、そのデータの中身を見抜かなくてはいけません。そのためには、以下のような、真実を探る思考・行動力が求められます。

  • 数字の計測方法や定義が正しいか見極める
  • 「平均」ではなく「中央値」で実態を把握する
  • データが作られる「現場」に足を運ぶ

ビッグデータで「中央値」が重要であるのは、「平均」は実態を正確に表さないためです。

例えば、平均点が同じクラス(A・B)があり、Aクラスは高得点と低得点の2極化、Bクラスは平均点に集中していた場合、同じ平均点であっても、学力の実態は全く異なります。

ビッグデータにおいては、このように少数の極端な値が平均値を大きく歪めてしまうため、真の傾向を捉えるには中央値を参照する思考が重要となるのです。

DX人材に欠かせないデータの本質を見抜く思考

この「データの本質を見抜く思考」は、現場で即戦力となるDX・AI人材育成に求められる重要なスキルですが、「自社にデータを分析できる人材がいない」という企業様もいるでしょう。

DX・AI人材育成研修サービスは、貴社の状況やニーズに合わせて柔軟なDX人材育成プランをご提案いたします。

ビッグデータとAIとの関連

ビッグデータとAIとの関連

ビッグデータとAIは、互いに補い合う関係にあります。

ビッグデータ処理における課題

ビッグデータには、電子メールやSNSの投稿、音声、画像、位置情報など、種類も形式もさまざまなデータが含まれます。こうしたデータは膨大で複雑なため、従来の表計算ソフトなどでは処理や分析が難しいという課題がありました。

AIがデータを価値に変える

その課題克服に貢献したのが、人間の知能を人工的に再現したAIです。AIは、膨大なデータを効率的に整理・分析し、そこから価値ある情報を見つけ出します

AIには「データの中から自ら規則性や特徴を見つける」学習能力が備わっており、例えば、顔認証システムでは、大量の顔画像を学習して特性やパターンを把握し、個人を正確に判別することが可能です。

ビッグデータとAIは相互に成長する

AIは、日々生み出されるビッグデータをもとに学習を重ね、より高精度な解析を行います。しかし同時に、AIが正確な判断を行うためには、豊富で質の高いビッグデータが必要です。

つまり、ビッグデータがAIを育て、AIがビッグデータを活かすという相互補完の関係が成り立っているのです。このAIの進化に大きく貢献したのがディープラーニングです。

この技術により、複雑な画像や音声といったビッグデータから、AIが自動で重要な特徴を学び取ることが可能になりました。ディープラーニングについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひこの機会にご一読ください。

【2025】ディープラーニングとは?簡単にわかりやすく解説!AI・機械学習との違いも一覧で紹介

ディープラーニングの学習が深い(ビッグデータを高度に分析できる)のは、「ニューラルネットワーク」が多くの層を重ねて情報を処理しているからです。ニューラルネットワークについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひディープラーニングとセットで理解を深めてください。

【2025】初心者でもわかるニューラルネットワーク!仕組み・学習プロセス・ディープラーニングとの違いも徹底解説

ビッグデータを活用するステップ

ビッグデータを活用するステップ

ビッグデータをビジネスの成果に結びつけるには、適切なポイントを押さえて進めることが重要です。ここでは、ビッグデータ利活用を成功させるための具体的なステップを解説します。

  1. 目標から逆算して分析の設計図を描く
  2. データを整え、分析できる「状態」にする
  3. AIでデータの意味を深く掘り下げる
  4. 小さく試して確かな成果を見極める

①目標から逆算して分析の設計図を描く

ビッグデータ活用のスタートは、「何を達成したいのか」という目的設定です。まずは、「顧客離脱率を下げたい」「生産性を上げたい」「購買傾向を可視化したい」など、目指す成果を明確にしましょう。

目的が定まれば、必要なデータや分析の方向性も自然と定まりますが、この手順を怠ると分析が自己満足で終わりかねません。目的を起点にすれば、既存データで足りるのか、新たに収集が必要なのかを見極められ、分析のロードマップを現実的に描くことができるのです。

②データを整え、分析できる「状態」にする

分析の質は、AIの性能よりも、入力するデータの正確さ・一貫性が結果を左右します。そのため、目的が決まったら、まず最初に「データクレンジング(前処理)」を行いましょう

データクレンジングとは、分析結果の精度を高めるためにデータをきれいにする作業です。具体的には、データに混ざっている欠損や誤表記、重複などを修正し、情報が正確で抜け漏れなく、統一されている状態に整えます。

データの解釈が人によってブレないためにも、適切にクレンジングすることが重要です。あわせて、システムごとに異なるフォーマットを統一し、部門をまたいだ分析やAI活用がスムーズに進むようにしましょう。

③AIでデータの意味を深く掘り下げる

データの整備が終わったら、AIを活用してデータの意味を深く見ていきましょう

まず、基本となる統計分析(平均値やクロス集計など)でデータの全体像を把握します。その後、AIを使って人間の目では気づきにくい構造やパターンを発見し、未来を予測する分析を進めます。

AIの分析で用いるのは、以下の機械学習アルゴリズムです。

AIの分析手法 役割・分かること
決定木分析 購買行動や顧客離脱など、要因の影響度を階層的に可視化
アソシエーション分析 「合わせ買い」といった商品間の隠れた関係性(レコメンド)を発見
主成分分析 多数の変数をまとめ、データ全体の傾向を俯瞰的に評価

このようにAIの計算力と人の洞察を融合して、データが持つ真の価値を引き出します。

④小さく試して確かな成果を見極める

最終ステップとして、本格的に導入する前に小規模なPoC(Proof of Concept)で検証しましょう。これは、以下のような「仮説の現実性」を確かめるための実験です。

  • 想定した分析手法で目的が達成できるか
  • 十分なデータ品質が確保できるか
  • コストやリソースに見合う成果が見込めるか

結果を踏まえて改善を重ねれば、リスクを抑えつつスピーディに次の段階へ進めます。組織がデータドリブンな意思決定を身につける重要なステップなので、抜け漏れがないように丁寧に検証・評価しましょう。

企業におけるビッグデータの身近な活用事例

企業におけるビッグデータの身近な活用事例続いて、企業における身近なビッグデータ活用事例を見ていきましょう。

ダイドードリンコ|「売れる自販機」の秘密は視線にあり

飲料メーカーのダイドードリンコは、自動販売機の売上向上にビッグデータを活用しています。当社は、従来のアンケートに加え、消費者の視線がどこに動くかを追跡する「アイトラッキング・データ」を導入しました。

この複数のデータ分析の結果、これまで常識とされていた陳列方法(左上からZ字に視線が動く)を覆し、人気商品を左下に配置したところ、売上が増加しました。消費者の無意識の行動をデータ化することで、マーケティングを大きく前進した好例です。

富士通(Akisai)|AIが支える美味しい日本酒の原料

続いて、富士通が提供する農業クラウドサービス「Akisai(アキサイ)」を見てみましょう。

このサービスは、農業経営を支援するもので、特に注目されるのが、人気日本酒「獺祭(だっさい)」の製造元である旭酒造での活用です。同社は、高級な酒米「山田錦」の安定調達という大きな課題を抱えていました。

そこで、Akisaiを導入し、作業実績や田んぼの環境(センサーデータ)を細かく収集・分析。このデータから、最も品質の良い米ができた「ベストな栽培方法」を確立しました。この仕組みにより、気象変動に左右されやすい高級酒米の安定的な生産を実現しています。

大阪ガス|渋滞データを活用した効率的なサービス

インフラを支える大阪ガスは、ビッグデータを活用してサービスを高速化しています。同社が注目したのは、業務用車両の「ムダな待ち時間」で、専門部署は、自動車メーカーがGPSで集めた詳細な渋滞データを徹底分析しました。

このデータに基づき、修理やガス供給に向かう車両の待機拠点を最も効率的な場所に再配置し、結果、現場への到着時間が大幅に短縮。これにより、ガスの緊急対応や修理サービスなどの顧客対応がスムーズになり、サービスの品質と顧客満足度の向上に大きく貢献しています。

参照:総務省 国内ビッグデータ活用事例

ビッグデータ活用時の課題点

ビッグデータの活用には、いくつかの課題点も存在します。

コストの壁

ビッグデータ活用で最も大きな壁は、膨大なデータ処理を支えるインフラコストです。

従来のシステムでは、大量のデータをリアルタイムで処理しきれず、せっかくの情報も鮮度が落ちてしまい、機会損失につながります。データの価値を最大限に引き出すには、数十台〜数千台規模のサーバで動く大規模並列処理の仕組みが必要です。

しかし、この仕組みを整えるには巨額の投資が伴います。そのため、多くの企業にとってコストの高さが導入の大きな足かせとなり、活用に踏み切れない現実があります。

管理と主導権の問題

ビッグデータ活用では、組織体制の整備も大きな課題です。企業全体に散在する膨大なデータを、どの部門が主導して管理し、どのように活用するかを明確にする必要があります。

さらに、何を「ビッグデータ」と定義するかも企業ごとに異なります。例えば、数百ギガバイトのデータで初めて検討を始める組織もあれば、数十〜数百テラバイトに到達して初めて真剣に見直す組織もあります。

このような共通認識の欠如が、分析結果や意思決定のばらつきにつながり、ビッグデータ活用の効果を十分に引き出せない原因となるのです。

DX人材の不足

ビッグデータを活用して成果を出すには、データを分析し、価値ある知見に変えられる人材が必要です。製造業や建設業の現場でも、センサーやIoTから集まる大量のデータを業務改善や生産性向上につなげるには、専門知識と実務経験を持つ人材が求められます。

しかし、こうした分析力を備えた人材不足の声は多く、現場ではデータの取り扱いや活用方法に悩むケースが少なくありません。

人材不足の課題を解決は専門サービスがおすすめ

DX人材不足の課題を解決するには、DX・AI人材育成研修サービスがおすすめです。

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ビッグデータについてまとめ

現代の生成AIの進化を支える土台でもあるビッグデータ。
生成AIでもテキストや画像など多彩なデータが活用されていますが、適切に扱うには倫理とセキュリティの徹底が必要です。データの価値を最大化するためにもぜひ適切な知識とルールを学びましょう。

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