「パートやアルバイトを正社員にしたいけれど、人件費の負担が大きい」「キャリアアップ助成金があるらしいが、自社が対象なのかわからない」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。このような課題を解決できるのが、キャリアアップ助成金です。
本記事では、キャリアアップ助成金の制度概要や受給可能な最大金額、申請手順などをわかりやすく解説します。さらに、キャリアアップ助成金を活用したDX研修による人材育成の方法もご紹介しているので、ぜひご一読ください。
キャリアアップ助成金とは
キャリアアップ助成金は、アルバイトや契約社員などの非正規スタッフを正社員にしたり、給与を上げたりして待遇を改善した企業に対して、国から資金が支給される助成金制度です。
キャリアアップ助成金を活用すれば、人件費の負担を軽減でき、浮いた予算をDX研修などの人材育成に回して自社のデジタル化を加速させることが可能です。まずは、そんなキャリアアップ助成金について解説します。
- 対象となる事業主・労働者の条件
- 全6コースの種類と支給金額
キャリアアップ助成金の基礎を把握したい方は、参考にしてください。
対象となる事業主・労働者の条件
キャリアアップ助成金を受給するには、事業主と労働者の双方が助成金の条件を満たす必要があります。
| 対象 | 主な条件 |
|---|---|
| 事業主 |
|
| 労働者 |
【※正社員化コースの場合の追加要件】
|
個人事業主や従業員10人未満の小規模事業所であっても、上記の条件を満たして就業規則を整備すればキャリアアップ助成金の申請が可能です。
全6コースの種類と支給金額
キャリアアップ助成金は、目的に応じて正社員化支援と処遇改善支援の全6コースに大別されます。各コースの概要と、中小企業がキャリアアップ助成金を活用した場合の最大支給額を以下の表にまとめました。
| 分類 | コース名 | 概要 | 最大支給額(中小企業の場合) |
|---|---|---|---|
| 正社員化支援 | 正社員化コース | 有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換する | 最大80万円/人(※1) |
| 障害者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者などを正規雇用に転換する | 最大120万円/人 | |
| 処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース | 非正規スタッフの基本給(賃金規定等)を3%以上増額する | 最大7万円/人(※2) |
| 賃金規定等共通化コース | 正規・非正規で共通の職務等に応じた賃金規定を導入する | 60万円/事業所 | |
| 賞与・退職金制度導入コース | 非正規スタッフに賞与・退職金制度を設けて支給等を行う | 最大56万8,000円/事業所 | |
| 短時間労働者労働時間延長支援コース | パート等の週所定労働時間を延長し、社会保険を適用する | 最大40万円/人(※3) |
※出典:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内|キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)|厚生労働省
(※1):有期雇用から正社員へ転換し、かつ重点支援対象者(雇入れ3年以上など)として2期分を受給した場合の金額です。(通常は1期40万円)
(※2):基本給の引き上げ率(6%以上など)に応じた金額です。職務評価の活用などで別途加算(20万円等)があります。
(※3):中小企業における1年目の取組の最大額です。(常時30人以下の小規模企業の場合は最大50万円)
自社の課題解決やDX研修などのデジタル化推進に向けた資金確保のためにも、まずはどのキャリアアップ助成金のコースが活用できそうか目安をつけておくのがおすすめです。
なお、DX推進やIT人材の育成に特化したその他の補助金や助成金については、以下の記事で解説しているので、参考にしてください。
キャリアアップ助成金を活用するメリット

キャリアアップ助成金は、一見すると労働者のための福祉的な助成金制度のように見えますが、実は経営側の資金と組織づくりの悩みを解決する手段でもあります。本章では、キャリアアップ助成金を活用するメリットをご紹介します。
- まとまった資金を調達できる
- 優秀な人材を定着させられる
- 未経験者を正社員化して組織を強化できる
キャリアアップ助成金の活用で得られるメリットを把握したい方は、参考にしてください。
①まとまった資金を調達できる
キャリアアップ助成金を活用すれば、返済不要のまとまった資金を調達できます。金融機関からの融資とは異なり、キャリアアップ助成金に返済義務はなく、用途の制限もありません。
例えば、キャリアアップ助成金の正社員化コースで1人の非正規スタッフを正社員に転換した場合、中小企業なら最大80万円を受給できます。このキャリアアップ助成金をITツールの導入やDX研修などに投資すれば、人件費の負担を抑えながら自社の生産性向上につなげることも可能です。
なお、キャリアアップ助成金で得た資金を活用し、DX人材を育成したい方は、短期間で実務レベルのDXスキルを習得できる研修プログラムの受講もおすすめです。GETT ProskillのDX研修・人材育成プログラムは、IT初心者でも効率よく現場で使えるDXスキルを網羅的に学べると人気を集めています。
②優秀な人材を定着させられる
「せっかく育てた人材が辞めてしまう」と、お悩みの方も多いのではないでしょうか。キャリアアップ助成金を活用した正社員登用や給与の引き上げは、将来の雇用不安を払拭し、「この会社で長く働きたい」という帰属意識を生むきっかけになります。
さらに、キャリアアップによる正社員化の実績は、他の非正規スタッフにも「自分も正社員になれる」というキャリアパスを示すことになり、既存社員全体のモチベーション向上にもつながります。
多額の採用コストをかけて外部から人材を探すよりも、キャリアアップ助成金を活用して既存の優秀なスタッフを引き留めるほうが確実かつ経済的です。
③未経験者を正社員化して組織を強化できる
キャリアアップ助成金を活用すれば、まずはパートや契約社員として採用し、実務を通して適性を見極めてから正社員へキャリアアップさせるルートを構築できます。すでに現場の業務や社風になじんでいるスタッフを正社員化するため、入社後の教育コストや早期離職のリスクを最小限に抑えられます。
いきなりスキルの高い正社員を採用するより、キャリアアップ助成金を活用して未経験から自社に合ったコアメンバーを育成するほうが、結果的に強固な組織基盤の構築につなげることが可能です。
審査は厳しい?キャリアアップ助成金の申請方法
キャリアアップ助成金の審査は、厳しいというより要件を満たし、正しい手順で手続きをすれば受給できる仕組みです。以下に、キャリアアップ助成金の申請手順をまとめました。
| ステップ | 手続き | 注意点 |
|---|---|---|
| ① | 計画書の提出 | 必ず取組の前日までに労働局へ提出 |
| ② | 規則の改定・届出 | 認定計画にもとづき就業規則を改定・届出 |
| ③ | 転換・賃上げ実施 | 規定に沿って対象者の正社員転換等を実施 |
| ④ | 6か月分の給与支払 | 実施後、6か月分の賃金を支払う |
| ⑤ | 支給申請 | 支払日の翌日から2か月以内に労働局へ必着 |
※出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)|雇用関係助成金に共通の支給要領|厚生労働省
なお、期限末日が行政機関の休日に当たる場合は、翌開庁日が期限となります。また、電子申請や郵送の場合は、申請期間内の到達が条件となるため、余裕を持ってキャリアアップ助成金の申請手続きを進めるのが得策です。
キャリアアップ助成金が不支給になるケース

要件を満たしたつもりでも、手続きの進め方や書類の不備が原因で、キャリアアップ助成金が不支給になるケースがあります。よくある不支給の理由は以下です。
| 不支給になるケース | 内容 |
|---|---|
| 計画書の提出より先に正社員化・賃上げを行った |
|
| 労働保険料の滞納や法令違反がある |
|
| 就業規則や申請書類に不備がある |
|
※出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)|厚生労働省
キャリアアップ助成金の申請手続きに不安がある場合は、管轄の労働局やハローワーク、または社会保険労務士への相談も有効な手段です。
キャリアアップ助成金で正社員化した人材を即戦力に
キャリアアップ助成金の活用で正社員化した人材が即戦力として活躍するには、スキルアップの仕組みも欠かせません。特にDXやAI活用が求められる現在、正社員化後のスキルアップ体制を整えることが重要です。本章では、キャリアアップ助成金で正社員化した人材を、即戦力に育てるための方法をご紹介します。
- DX研修でスキル不足を解消
- 人材開発支援助成金との併用で研修費用を低減
- 助成金の活用でDX推進を活性化するなら
キャリアアップ助成金を雇用だけでなく育成にもつなげ、組織全体の生産性を高めたい方は、参考にしてください。
DX研修でスキル不足を解消
キャリアアップ助成金の活用で正社員化したものの、研修体制が整っておらずスキル不足に悩まされるケースも多くあります。実際、厚生労働省の調査によると、企業がOFF-JT(職場外研修)を実施した割合は正社員向けが70.4%であるのに対し、非正規社員向けはわずか29.6%です。
これでは、キャリアアップ助成金による正社員化が形だけで終わりかねません。過去の教育不足を補い、スキル不足を解消する手段として、DX研修の導入が注目されています。DXスキルを体系的に学べるプログラムを活用すれば、正社員化した人材を短期間で即戦力化することが可能です。
人材開発支援助成金との併用で研修費用を低減
「DX研修が有効なのはわかるけれど、費用の負担が大きい」と、お悩みの方も少なくありません。そこでキャリアアップ助成金とあわせて活用したいのが、人材開発支援助成金です。
人材開発支援助成金の人材育成支援コースには、正社員化を前提とした有期実習型訓練があり、経費助成率は最大75%、賃金要件を満たせば最大100%まで助成されます。キャリアアップ助成金で正社員化のコストを補い、人材開発支援助成金で研修費用を補う、この2つを併用すれば、採用から育成までのコストを大幅に抑えられます。
※出典:人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内|厚生労働省
助成金の活用でDX推進を活性化するなら

キャリアアップ助成金と併用して人材開発支援助成金の活用でDX研修を導入する場合、研修プログラムの選定が重要になります。
助成金に対応しつつ、ITに不慣れな社員でも短期間で実務レベルのDXスキルを習得できる研修プログラムなら、GETT ProskillのDX研修・人材育成サービスもおすすめです。自社の課題に合わせたカリキュラムのカスタマイズにも対応しています。気になる方は、無料資料をダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
なお、自社に合うDX人材育成プログラムの選び方は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
キャリアアップ助成金についてまとめ
キャリアアップ助成金は、非正規スタッフの正社員化や待遇改善にかかるコストを国が支援してくれる制度です。キャリアアップ助成金を活用して正社員化のコストを抑え、得られた資金や人材開発支援助成金をDX研修などの育成に再投資すれば、自社の生産性を飛躍的に高める人材を短期間で育成することが可能です。
まずは自社がどの助成金コースに該当するか、管轄の労働局やハローワークに相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。