DX研修を本格的に導入するには相応の費用がかかるため、「予算面で踏み切れない」と悩む企業もあるのではないでしょうか。そこで注目したいのが、DX研修に活用できる助成金制度です。
この記事では、DX研修助成金の種類や助成率、対象者の概要に加え、申請方法と受給までの6ステップをわかりやすく解説します。あわせて、DX研修助成金制度ごとの違いや申請時の注意点も整理しています。
自社に最適なDX研修助成金を見極め、賢く活用することで、費用負担を抑えながらDX人材の育成を進めることが可能です。助成金を上手に活用し、DX推進を加速させていきましょう。
DX研修とは?企業が導入すべき理由
DX研修とは、デジタル技術を活用して業務改革や新たな価値創出を実現するデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために、社員のデジタルスキルやデータ活用力を高める教育施策のことです。
近年は市場環境の変化が激しく、従来の業務プロセスのままでは競争力を維持することが難しくなっています。そのため、ITツールの導入にとどまらず、データ分析や業務自動化、クラウド活用などを実践できるDX人材の育成が不可欠です。
DX研修を導入すれば、生産性向上や業務効率化だけでなく、組織全体の意識改革にもつながります。企業が持続的に成長していくための基盤づくりとして、DX研修は重要な取り組みといえるでしょう。
DXを推進する人材に必要なスキルマップについては、こちらで詳しく解説しています。
DX研修に助成金を活用するメリット

DX研修は企業の成長に欠かせない取り組みですが、一定のコストがかかる点を課題として挙げる企業も少なくありません。そこで活用したいのが、DX研修に使える助成金制度です。
DX研修に助成金を活用する主なメリットは、次のとおりです。
- 研修費用の負担を大幅に軽減できる
- 研修中の賃金も一部助成される場合がある
- 予算の制約を理由に研修を見送るリスクを減らせる
- 中長期的なDX人材育成計画を立てやすくなる
- 公的制度を活用することで社内の理解を得やすい
- 体系的な研修設計を行うきっかけになる
このように助成金を活用すれば、コスト面の不安を抑えながらDX研修を導入でき、企業は継続的な人材育成に取り組みやすくなります。助成金制度を正しく理解し、戦略的に活用することが、企業のDXを加速させる近道といえるでしょう。
DX研修に使える助成金の種類・助成率・上限額・対象者

DX研修に活用できる助成金には、国が実施する「人材開発支援助成金」の各コースや、東京都など自治体独自の助成金制度があります。ここでは、DX研修に使える主な助成金の種類と、助成率・上限額・対象者の概要を整理します。
| DX研修助成金の種類 | 助成率(目安) | 1人あたりの上限額(目安) | 助成金の主な対象者 |
|---|---|---|---|
| ①人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 約45%~75% | 10万円~50万円規模(訓練内容による) | 雇用保険適用事業所の事業主・雇用保険被保険者 |
| ②人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース) | – | 制度導入経費+賃金助成(上限あり) | 雇用保険適用事業所の事業主・雇用保険被保険者 |
| ③人材開発支援助成金(人への投資促進コース) | 約45%~75% | 数万円~数百万円規模(メニューによる) | 雇用保険適用事業所の事業主・雇用保険被保険者 |
| ④人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース) | 約60%~75% | 20万円~50万円規模(訓練内容による) | 雇用保険適用事業所の事業主・雇用保険被保険者 |
| ⑤DXリスキリング助成金(東京都) | 75% | 1人あたり上限7.5万円/企業上限100万円 | 都内中小企業等・都内勤務の従業員 |
①人材開発支援助成金(人材育成支援コース)
人材育成支援コースは、厚生労働省の人材開発支援助成金の中核となる助成金制度です。事業主が雇用する労働者に対し、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部として活用できる助成金となっています。
DX研修など、業務に直結する実践的な教育訓練に活用できる点が特徴です。助成金支給の対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主および雇用保険被保険者である労働者で、正社員だけでなく有期契約社員なども含まれます。
助成金の助成率や上限額は訓練内容や企業規模、雇用形態によって異なるため、申請前に厚生労働省の公式要領を確認しておくことが重要です。
②人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)
教育訓練休暇等付与コースは、労働者が自発的に教育訓練を受けられるよう、企業が「教育訓練休暇制度」を導入した場合に活用できる助成金です。制度を整備し、実際に労働者が教育訓練休暇を取得した際には、制度導入にかかった経費や休暇期間中の賃金の一部が助成されます。
ここでいう教育訓練とは、事業主以外が実施する研修や各種検定(職業に必要な技能・知識に関する検定)、キャリアコンサルティングなどを指し、これらを受けるために取得する休暇が対象です。
参考:人材開発支援助成金(教育訓練休暇付与コース)を使ってみませんか?|厚生労働省(PDF)
③人材開発支援助成金(人への投資促進コース)
人への投資促進コースは、厚生労働省の人材開発支援助成金の一つで、企業が事前に作成した訓練計画に基づき、職務に関連する訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を支給する助成金制度です。
労働者の主体的な学び直しや高度スキルの習得を後押しすることを目的として、令和4年度から令和8年度までの期間限定で実施されています。
助成金の対象となるのは、定額制(サブスクリプション型)研修サービスを活用した訓練、情報技術分野の認定実習併用職業訓練、高度デジタル人材や成長分野人材の育成訓練などです。また、IT分野未経験者を即戦力化するための訓練や、労働者が自発的に受講した訓練費用を企業が負担する場合も助成金の対象となります。
DX研修との親和性が高いコースであり、デジタル分野の専門人材育成やリスキリングを検討している企業にとって活用しやすい助成金制度といえるでしょう。
④人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)
事業展開等リスキリング支援コースは、厚生労働省の人材開発支援助成金の一つで、企業が雇用する労働者に対して訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が支給される助成金制度です。新たな事業の立ち上げや業態転換など、事業展開に伴って必要となる知識・技能の習得を目的とした訓練が助成金の対象となります。
具体的には、企業が新分野へ進出する際に必要となる専門的な知識や技能を身につけさせるための訓練が該当します。必ずしも新規事業を立ち上げる場合に限らず、企業内でデジタル化やDX推進、グリーン化・カーボンニュートラル化を進める際に、それらの業務に従事するために必要な専門知識や技能を習得させる訓練も含まれます。
助成金支給の対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主および雇用保険被保険者である労働者です。DX研修やリスキリング施策と親和性が高く、事業戦略と連動したDX人材育成を進める企業にとって活用しやすい助成金制度といえるでしょう。
参考:「事業展開等リスキリング支援コース」のご案内|厚生労働省(PDF)
⑤DXリスキリング助成金(東京都)
DXリスキリング助成金は、従業員のスキルアップを目的としたDX研修を実施する都内の中小企業等に対し、研修費用の一部を支給する助成金制度です。自社のDX推進に向けて行う研修が対象となり、デジタル分野の知識や技能の習得を後押しします。費用負担を抑えながらDX人材の育成に取り組める点が大きな特徴です。
助成金支給の対象となるのは、東京都内で事業を営む中小企業等で、都内に本社または主たる事業所を有していることが要件です。あわせて、東京都政策連携団体等に該当しないことや、都税の未納がないことなど、複数の条件が設けられています。申請前に自社が助成金の対象要件を満たしているかを確認しておきましょう。
DX研修助成金の申請方法と受給までの6ステップ

DX研修助成金は、要件を満たせば受給できる可能性が高い制度ですが、正しい手順で進めなければ支給対象外となる場合もあります。ここでは、DX研修助成金の申請から受給までの流れを6つのステップで解説します。
- DX研修計画を策定する
- 対象となる助成金コースを確認する
- 事前に計画届を提出する
- DX研修を実施する
- 支給申請と実績報告を行う
- 助成金を受給する
①DX研修計画を策定する
まずは、自社のDX推進方針に基づき、どのようなDX人材を育成したいのかを明確にしましょう。研修の目的、対象者、実施内容、期間、費用などを具体的に整理し、助成金の要件に合致する内容であるかを確認することが重要です。
場当たり的な研修ではなく、事業戦略と連動した計画を立てることで、助成金の活用だけでなく、DX研修そのものの効果も高まります。
②対象となる助成金コースを確認する
策定したDX研修計画が、どの助成金コースに該当するのかを確認しましょう。人材育成支援コースや事業展開等リスキリング支援コースなど、それぞれ助成金の対象となる訓練内容や助成率が異なります。
企業規模や雇用形態によっても条件が変わるため、自社の状況と照らし合わせながら最適な助成金コースを選ぶことが重要です。不明点がある場合は、都道府県労働局やハローワークに事前相談することで、申請ミスを防ぎやすくなります。
③事前に計画届を提出する
多くのDX研修助成金では、研修開始前に計画届を提出することが必須となっています。提出期限を過ぎてから助成金の申請をしても、原則として助成対象にはならない点に注意が必要です。
助成金申請のための計画書には、訓練内容や実施期間、受講者情報などを正確に記載する必要があります。提出後、内容に不備があると修正を求められる場合もあるため、余裕を持って準備することが大切です。
④DX研修を実施する
助成金申請のための計画届が受理された後、内容に沿ってDX研修を実施します。訓練時間や出席率などは助成金の支給要件に直結するため、受講記録や出席簿を適切に管理することが重要です。
研修費用の支払い証憑や請求書などは、後の助成金申請の際に必要となるため、漏れなく保管しておきましょう。計画と異なる内容で実施する場合は、事前に確認することが求められます。
⑤支給申請と実績報告を行う
研修終了後は、所定の期間内に助成金の支給申請と実績報告を行いましょう。実施内容や受講状況、支払った経費などを証明する書類を提出し、助成金の要件を満たしているか審査を受けます。
書類不備や記載漏れがあると、差し戻しや不支給の原因になるため注意が必要です。提出期限も厳格に定められているため、スケジュールを事前に確認し、余裕を持って準備を進めることが重要になります。
⑥助成金を受給する
審査を経て支給決定となれば、指定口座に助成金が振り込まれます。多くの制度では助成金は原則後払いとなるため、研修費用は一度企業が立て替える形になります。資金繰りを踏まえた計画を立てておくことも重要です。
助成金の受給後も、一定期間は書類の保存義務がある場合があります。そのため、助成金の関係書類は適切に管理しておくことが重要です。正しい手順を踏めば、助成金によってDX研修の費用負担を大きく軽減できます。
DX研修助成金を選ぶ際のポイントと注意点

DX研修助成金は複数の制度やコースが用意されているため、自社の企業規模に応じた条件を確認する必要があります。ここでは、DX研修助成金を選ぶ際に押さえておきたい比較ポイントと、事前に確認すべき注意点を解説します。
- 助成率・上限額で比較する
- 研修目的に合ったコースを選ぶ
- 申請要件を事前に確認する
- 不支給になるケースもある
①助成金の助成率・上限額で比較する
DX研修助成金を選ぶ際は、まず助成率と上限額を確認することが重要です。同じ研修内容であっても、コースによって経費助成の割合や賃金助成の有無が異なります。
中小企業と大企業で助成率が変わる場合もあるため、自社の企業規模に応じた条件を確認する必要があります。助成率だけで判断せず、上限額や対象経費の範囲も含めて総合的に比較することで、実際に受け取れる助成金の金額をより正確に把握できるでしょう。
②研修目的に合ったコースを選ぶ
DX研修助成金は、コースごとに想定している目的が異なります。既存業務のスキル向上を目指すのか、新規事業やDX推進に伴うリスキリングを行うのかによって、適した助成金制度は変わるため、自社のDX戦略や人材育成方針と整合性が取れているかを確認することが重要です。
助成金に合わせて無理に研修内容を決めるのではなく、あくまで経営課題を解決するための研修を軸に制度を選ぶ視点が求められます。
③申請要件を事前に確認する
DX研修助成金には、訓練時間の下限や対象となる労働者の条件、事前申請の有無など、細かな要件が定められています。研修開始前の計画届提出が必須となるケースが多く、事後申請は原則認められない点に注意が必要です。
要件を満たしていない状態で研修を実施すると、助成金の対象外となる可能性があります。申請前に公式要領を確認し、必要書類やスケジュールを整理しておくことが重要です。
④不支給になるケースもある
助成金は要件を満たせば受給できる制度ですが、書類不備や出席率不足、計画と異なる内容での実施などがあると不支給となる場合があります。研修費用の支払い証憑が不足している、提出期限を過ぎているといった事務的なミスも原因になります。
申請手続きは細かいルールが多いため、担当者を明確にし、チェック体制を整えて進めることが大切です。リスクを理解したうえで準備することが、確実な受給につながります。
助成金を活用できるおすすめのDX研修

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LMSによる学習管理やワークショップを通じて定着を支援するのも特徴です。人材開発支援助成金を活用すれば、研修費用の最大75%が助成されるため、コストを抑えながら効果的なDX人材育成を実現できます。
おすすめのDX研修については、こちらも参考にしてください。
助成金を活用して自社に最適のDX研修を導入しよう
DX研修は、企業がデジタル時代に対応し、競争力を高めていくために欠かせない取り組みです。研修費用や人材育成の負担を理由に導入をためらう企業は、DX研修助成金を活用してみましょう。
助成率や上限額、対象要件を正しく理解し、自社の目的に合ったコースを選ぶことで、コストを抑えながら計画的な人材育成が可能です。申請手順や注意点を押さえたうえで制度を活用すれば、DX推進のスピードは大きく高まります。
助成金を上手に活用し、自社に最適なDX研修を導入して、組織の成長につなげていきましょう。