DX研修の導入を検討しているものの、実際にどのような効果が得られるのか分からなくて悩んでいる、という人もいるのではないでしょうか。一言でDXといっても、その内容はさまざまです。そのため、研修の内容も多岐にわたります。そこで今回は、DX研修とはそもそもどういうものか、どのような成功事例があるのか、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
DXの研修とは
DX研修は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する知識やスキルを身につけるための研修プログラムです。DXは、ビジネスや組織がデジタル技術を活用して新たな価値を生み出すことを目的としています。DX研修は、デジタル技術のトレンドや最新の事例、ビジネス戦略やマーケティングの手法、データ分析や人工知能などの技術について学ぶ研修です。DX研修は、一般的に企業や組織が従業員のスキルアップや生産性向上、業務効率化などを図るために導入されます。従業員がDXに関する知識やスキルを身につけることで、企業や組織の競争力を高められるからです。
DX研修で学べることとして、まずはDXの基礎知識が挙げられます。DXの概念や目的、デジタル技術の種類など、DXに関する基本的な知識です。DXの事例やトレンドについても学習します。現在のDXの最新トレンドや、実際にDXを実践している企業の事例などです。合わせて、DXを自社のビジネスに活用する際のビジネス戦略やマーケティング手法についても学びます。そのほか、DXに欠かせないデータ分析や人工知能の技術について学び、それらを活用したビジネスやサービスの提供方法を習得することもDX研修の大きなポイントです。さらに、DXに関する実践的な演習やプロジェクトを通じ、受講者が自身でDXを実践するためのスキルを身につけます。
DX研修では、オンラインや対面での講義やワークショップ、グループディスカッション、ケーススタディなどが用いられることが一般的です。具体的には、オンライン上でのビデオ会議やチャットツールを使ったやり取り、自宅で行なった課題の提出などです。
DX研修の事例4選
それでは、実際にどのような企業でDX研修が行われているのでしょうか。成功事例を4つ、詳しく紹介します。
フリマアプリ運営会社の場合
あるフリマアプリを運営している会社では、データ解析を主とするAI人材の育成のためにDX研修を利用しました。研修で行われたのは、ユーザーにキャンペーンを打つ際に意思決定をデータに基づいて行うためのシミュレータ作成です。研修では、まずは実データではなく、その特性を知っている担当者の知見がヒアリングされました。加えて、データ設計の方法と、そのデータからモデリングを行う方法が解説されました。その際に使用されたのは、Microsoft社が提供するAzure Machine Learning Studioというモジュールです。
そうして研修では、シミュレータを用いて設計した施策とフィードバックが行われました。この研修により、同社ではデータ設計をどのように業務で導入すればよいのか、具体的なイメージを掴むことができた、ということです。
大手飲料品メーカーの場合
ある大手飲料品メーカーでは、自社でアプリを開発できるようになりたい、という目的でDX研修を利用しました。研修ではiOS開発用プログラミング言語であるSwiftを学習して実際に4つのアプリを作成し、オリジナルアプリをAppStoreに公開しました。ただアプリを制作しただけでなく、実際のアプリ作成の際の体制や作成における難しいポイント、実務で活用できるスキルをどのように身に着ければよいか、といったことも学ぶことができた、ということです。また、この研修の結果、同社では外注せずとも自社内でアプリを開発することができるようになりました。
総合商社の場合
従業員3万人以上を抱えるある総合商社では、在庫管理にAIを活用することを目的としてDX研修を利用しました。同社はまず、物流部門の従業員全員に向けた研修を実施しました。その後、選抜されたメンバーで2回の研修を行い、実際に課題解決のためのモデル作成を行ったのです。この研修は物流部門のみならず、会社全体のDXに対する意識の向上に大きく役立った、ということです。同社では受講対象者を変え、次年度以降も同じ内容の研修を引き続き行っていくことを決定しました。
OA機器メーカーの場合
あるOA機器メーカーでは、これまで社内でデータサイエンティストの人材育成を行ってきたものの、そうして育成したデータサイエンティストが業務の前処理段階で多くの時間が割かれてしまい、本業であるデータ分析を行えない、という課題を抱えていました。そこで、同社はデータ活用の効率化を進めるため、データエンジニア育成のためのDX研修を利用したのです。研修では、データエンジニアの概要や定義の講義に始まり、データ収集や加工・分析といった業務を実践的に学びました。同社ではさらなるデータエンジニア増強のため、今後も研修を引き続き行っていきたい、ということです。
DX研修を社内で利用するメリット・デメリット
DX研修を社内で利用する際には、メリットとデメリットについてよく把握しておくことが大切です。以下、それぞれ詳しく解説します。
メリット
DX研修を社内で利用するメリットとしてまず挙げられるのは、従業員のスキルアップです。DX研修を受けることで、従業員は最新のデジタル技術やビジネス戦略に関する知識やスキルを身につけることができます。そうして従業員のデジタル技術に関するスキルアップがはかられることは、企業の競争力を高めることにつながるでしょう。
また、DXによって業務プロセスが改善されると、従業員の生産性や業務の効率性が向上することも期待できます。さらに、DX研修を通じて従業員が新しいアイデアや提案を出せるようになる可能性もあります。
また、DX研修を社内で利用すれば、社内の従業員の多くがDXの重要性や目的を理解するようになるでしょう。その結果、スムーズなDX戦略の推進につながります。これらのメリットを考えると、DX研修は企業にとって非常に有効な投資である、といえるでしょう。
デメリット
一方、デメリットもあります。まず挙げられるのは、費用がかかることです。DX研修を導入するには、講師や教材の費用、参加者の交通費や宿泊費などが必要となります。そうした費用負担をあらかじめ念頭に置いておかなければなrません。また、コストについて考えた場合、組織的な変化への対応も注意するべきポイントです。DX研修を受けた従業員が新しいスキルや知識を持って戻ってきた際、組織全体が彼らに合わせて変化しなければ意味がありません。そのため、会社は従業員の教育だけでなく、DXを活用するための体制やプロセスの整備にも投資する必要があります。
そのほか、教育効果の不確実性についても考えておく必要があるでしょう。DX研修は従業員のスキルアップを目的として行うものですが、必ずしも全員が同じ程度にスキルアップできるわけではありません。また、従業員が受けた教育をすぐに実践に活かせない場合もあります。そうした場合、DX研修は結局何の意味もなかった、という感想につながる恐れもあります。
まずは自社の課題を明確にするべき
DX研修の利用が成功するかどうかは、事前に自社における課題を明確にできているかどうかによります。自社にとって意味のないDX研修を受けても、何の役にも立たないからです。まずは自社の課題をしっかり把握し、課題の解決につながる研修を選びましょう。
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