「第二新卒」という言葉が一般的になるなど、終身雇用制の概念は形骸化した現代社会において、転職は決してマイナス要素ではなくなってきました。
このような背景から、注目を集めているキャリアがコンサル人材です。
コンサル人材は、人の役に立てる、人脈が広がる、企業経営に関われるなど、大きなやりがいを感じられる魅力的な仕事である反面、「きつい」といわれることも決して少なくありません。
この記事では、コンサル人材の実態について仕事内容、平均年収から徹底調査します。コンサル人材に向いている人や役立つ資格・転職成功のコツも解説するので、コンサル人材として活躍したい方はぜひ参考にしてください。
コンサル人材はきつい?
コンサル人材は、企業のニーズに合った人材をマッチングさせ、求職者のキャリアアップを支援する重要な役割を担っています。やりがいを実感できる仕事である反面、「コンサル人材はきついのでは?」と不安に思う人も少なくありません。
結論からいうと、コンサル人材は比較的ハードな仕事とされています。
実際に「キャリアアドバイザーに転職したが、短期間で退職した」というケースも珍しくありません。それでは、なぜコンサル人材の仕事は「きつい」といわれるのでしょうか?
コンサル人材の仕事がきつい理由
コンサル人材の仕事がきつい理由は、以下の4点に集約されます。
タスク量の多さ
コンサル人材の仕事は、求職者との面談、企業の求人情報の収集、企業への推薦、面接日程の調整、条件交渉など、日々こなす業務が膨大です。さらに、複数の求職者を同時に担当する場合、業務量が圧倒的に増えます。
数字目標のプレッシャー
多くの人材紹介業では、売上目標が設定されており、コンサル人材であるキャリアアドバイザーも成約数や売上額を求められます。目標未達成が続けば、精神的なプレッシャーが大きくなり、ストレス要因となります。
長時間労働の可能性
求職者の多くは在職中のため、面談は夜間や土日になることが多く、勤務時間が不規則になりがちです。さらに、求職者や企業との連絡対応に追われ、残業が常態化するケースもあります。
膨大な情報インプット
求職者ごとのキャリアや希望条件を正確に把握し、適切な提案を行うためには、多くの情報をインプットし続ける必要があります。業界や市場動向の知識も欠かせず、学び続けることが求められる仕事です。
このように、コンサル人材の仕事はやりがいがある一方で、相応の負荷がかかります。適性や働く環境を考慮しながらキャリアを選ぶことが重要です。
コンサル人材のきつさを乗り越えるためのポイント
人材コンサルタントは、工夫次第で負担を減らしながら、やりがいを持って長く活躍できる仕事です。そのためのポイントを紹介します。
業務を効率化する仕組みを作る
タスクが膨大になりがちなコンサル業務では、CRMツールやタスク管理アプリを活用し、業務効率化することが大切です。求職者ごとの進捗状況を一元管理すれば、業務の抜け漏れを防げるでしょう。
メンタルケアを忘れない
数字のプレッシャーやストレスと上手に付き合うには、悩みを共有する仲間を持つことが効果的です。また、自分の成功体験を記録しておくと、モチベーション維持にもつながります。
ワークライフバランスを意識する
不規則な勤務が続くと疲れが溜まりやすくなるため、週ごとにスケジュールを組んで、プライベートの時間を意識的に確保しましょう。リモートワークを活用して移動時間を減らすのも、負担軽減に役立ちます。
学び続ける工夫をする
業界知識を身につけるためには、日々の情報収集を習慣化することが重要です。社内の勉強会や先輩からのアドバイスも積極的に活用するなど、効率的かつ効果的な学習方法を取り入れましょう。
人材コンサルタントの年収は?
コンサル人材の仕事はきついといわれていますが、その分、年収は高いのでしょうか?やはり、転職を検討する上で、年収は重要な判断材料の一つです。
ここでは、転職サイトdodaで「人材コンサルタント」を含む転職・求人検索結果(3/17更新)から、直近の求人情報を8件ピックアップし、年収と概要を一覧表にまとめました。
職種/概要 | 勤務地 | 年収/給与 | 特徴 |
人材コンサルタント(IT業界専門) | 東京都、愛知県、大阪府 | 月給27.5万円~(固定残業代含む)+手当+賞与年2回+インセンティブ | 未経験OK、90%が未経験スタート |
人材コンサルティング営業 | 大阪府 | 400万円~500万円 | 未経験可、在宅勤務可、年休126日 |
人材紹介コンサルタント(スカウト担当) | 東京都 | 600万円~1,000万円 | 未経験可、入社2~3年で年収1000万円超多数 |
人材紹介営業(第二新卒・未経験向け) | 東京都 | 400万円~600万円 | 第二新卒歓迎、教育体制充実、定着率93% |
人材コーディネーター | 埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府 | 経験者:月給30万円以上+インセンティブ | 経験者優遇、年休125日、残業月20時間 |
人材総合エージェント | 愛知県 | 月給24.9万円以上+インセンティブ+手当+賞与年2回 | 未経験歓迎、20代の収入UP例多数、残業月15時間 |
両面型人材コンサルタント(建設・不動産業界) | 東京都 | 500万円~600万円 | 上場企業グループ、研修制度充実、年休125日 |
IT業界の両手型人材コンサルタント | 東京都 | 550万円~1,000万円+インセンティブ | 年休125日、土日祝休 |
上記表から、人材コンサルタントの年収は、未経験者で400万円前後からスタートし、経験を積むことで600万円~1,000万円以上も目指せることが分かります。
また、成果報酬型のインセンティブ制度があり、業績によって収入アップが期待できる点も特徴的といえるでしょう。
参照:doda
人材コンサルタントの仕事内容
先ほどの求人情報にも見られるように、コンサル人材の仕事は「両手型人材コンサルタント」や「両面型人材コンサルタント」がありました。これらは、人材紹介業界において、求職者と企業の両方を担当するコンサルタントを指します。
では、人材コンサルタントの仕事内容について詳しくお伝えしましょう。
企業向け
企業向け人材コンサルティングは、企業の人材戦略パートナーとして、組織文化や事業戦略に適した人材を見極め、長期的な成功につながるマッチングを実現します。
具体的な仕事内容とプロセスは以下の通りです。
- 企業の成長ビジョンや経営課題を深く分析
- 事業戦略に沿った最適な人材要件を定義
- 業界動向や競合企業の採用動向を調査
- ネットワークを活用し、潜在的な候補者をリサーチ
- 適切な候補者へのコンタクトと情報提供選考
- 選考プロセス全体を管理し、円滑な進行をサポート
- 定着率向上のため、入社後も継続的にフォロー
このように、採用戦略の策定から定着支援まで企業の人材課題を包括的にサポートします。
なお、人材コンサルの利用を検討している企業は、企業向けDX・AI人材育成研修サービスの利用もおすすめです。
こちらは、それぞれの企業に合わせたDX・AI人材育成のプランを柔軟に提案しています。相談は無料で随時受け付けておりますので、詳細を知りたい方はぜひ以下のページからご確認ください。
求職者向け
求職者向けのキャリアコンサルティング人材は、個々の強みやキャリアビジョンを最大限に活かし、理想のキャリアを実現するための包括的なサポートを提供します。
求職者向けキャリアコンサルティング人材の仕事内容と手順は以下の通りです。
- 個別面談を通じて、強みや経験、キャリアビジョンを明確化
- 将来のキャリア目標に沿った最適な選択肢を提案
- 業界動向や企業情報を調査し、最適な求人情報を提供
- 希望条件、長期的なキャリア形成を考慮してマッチング
- 応募書類の作成や面接対策を実施
- 企業との条件交渉を代行
- キャリア形成を見据えた入社後のフォロー
このように、求職者の価値を最大化し、ライフスタイルや価値観に合ったキャリア構築を総合的にサポートします。
人材コンサルタントに向いている人
人材コンサルタントとして活躍したい場合、未経験・学生は必要なスキルを身につけること、経験者・転職者であれば、これまでの経験を活かせる企業を選ぶことがポイントです。
とはいえ、やはり個々の素養に適していなければ活躍するのは難しいでしょう。ここでは、どのような人が人材コンサルタントに向いているのかを具体的に見ていきます。
- 対人関係が得意な人
- 必要なスキルを持っている人
①対人関係が得意な人
人材コンサルタントは、多くの人と関わる仕事なので、基本的に対人関係が得意でないと務まりません。具体的には、次のような特性を持つ人に向いています。
人と話すことが好きな人
人材コンサルタントは、求職者や企業担当者と日々会話するため、会話でコミュニケーションを楽しめることが重要です。加えて、相手の話を注意深く聞き、真意を汲み取る傾聴力が高い方も適しています。
相手の立場に立って考えられる人
人材コンサルタントは、相手の立場を考慮できる方にも向いています。例えば、求職者と企業、双方のニーズを理解し、適切な提案ができる共感力、多様な価値観を理解し、尊重できる柔軟性などです。
人の成長に喜びを感じられる人
人材コンサルタントは、企業と個人、双方の成長を支援し、達成時には一緒に喜びを感じられる人に向いています。長期的な視点で、双方の発展をサポートできる忍耐強さも大切です。
②必要なスキルを持っている人
人材コンサルタントとして活躍するためには、以下のようなスキルも必要です。
論理的思考力 | 求職者の希望や企業の要望を分析し、合理的なマッチングを行う力 |
課題解決能力 | 採用課題やキャリアの悩みを解決する実践力 |
コミュニケーション能力 | 企業と求職者のニーズを的確に把握し、適切に伝える力 |
情報収集力 | 業界動向や求人市場の最新情報を素早くキャッチし、活用できる力 |
プレゼンテーション力 | 企業や求職者に対し、魅力的な提案ができる能力 |
データ分析の知識 | 採用市場や給与相場などのデータを理解し、根拠ある提案を行う力 |
人材コンサルタントは、成果に応じた報酬体系を採用する企業も多く、自分の努力が収入に直結するのを望む方にも向いているといえるでしょう。
人材コンサルタントに役立つ資格
人材コンサルタントとして、より専門性の高いサービスを提供し、クライアントからの信頼を獲得するためには、資格取得も効果的です。
ここでは、人材コンサルタントとしてのキャリアアップに繋がる3つの資格を紹介します。
- 社会保険労務士(社労士)
- 中小企業診断士
- キャリアコンサルタント
①社会保険労務士(社労士)
労働・社会保険の専門家である社労士資格は、企業の採用から退職まで、人事労務に関する幅広いスキルを証明します。人材コンサルタントにとって、労働法規や社会保険制度の深い理解は、企業と求職者双方に的確なアドバイスを行う上で重要な知識です。
採用条件の設定、雇用契約、給与体系など、専門的な知識に基づくアドバイスは、クライアント企業の信頼性を高める際に大きな効果を発揮します。社労士資格は難易度が高いものの、人材コンサルタントとしての専門性を高めたい方におすすめの資格です。
②中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての専門性を証明する国家資格です。企業経営全般に関する幅広い知識は、人材コンサルタントが企業の経営状況や事業戦略を深く理解し、最適な人材提案を行う上で役立ちます。
採用計画の立案、組織構造の改善提案など、経営的な視点からのコンサルティングは、人材紹介に留まらない付加価値を提供します。試験は難易度が高いものの、取得後は人材領域だけでなく、経営コンサルタントとしても活躍の場を広げることができるでしょう。
③キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、個人のキャリア形成を支援する専門家としての国家資格です。この資格は、求職者の強みや課題を客観的に分析し、最適なキャリアパスを提案するための専門知識とカウンセリングを提供します。
求職者のキャリア設計を支援することで、企業とのマッチング精度を高めることができます。養成講習の受講と試験合格が必要ですが、人材コンサルタントとしての実務に直結する知識とスキルが習得できるため、人材業界を目指す方にとって価値の高い資格です。
人材コンサルタントのキャリアパス
人材コンサルタントは、その専門性を活かしてキャリアを広げる方が数多く存在します。ここでは、主なキャリアパスを3つご紹介しましょう。
- 人材紹介会社への転職
- 人材開発部門へ移動
- キャリアカウンセラーとして独立
①人材紹介会社への転職
人材コンサルタントのキャリアパスにおいて、人材紹介会社間の転職は代表的な選択肢の一つです。経験豊富なコンサルタントが、より良い条件や専門性を追求できる環境を求めて転職することは、業界内では一般的なキャリア戦略となっています。
近年、特に注目されているのが、特定の専門分野に特化したコンサルタントのニーズの高まりです。
特に、生成AIの急速な発展に伴い、AIスキルを持つ人材の需要が急増しており、これに伴い、企業の人材戦略を支援するAIコンサルティングの重要性も高まっています。生成AIの進化は非常に速いため、常に最新の情報をキャッチアップすることが重要です。
ProSkilllの生成AIセミナーでは、プロンプトエンジニアリングの基礎、AIを活用した業務効率化、安全な利用方法を学びます。わずか2日で、生成AIの仕組みを把握し、実務で活用できるスキルを習得できるおすすめの学習カリキュラムです。
AIコンサルティングのサービス内容について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
人材コンサルタントとして、より市場価値を高めたい、AIを活用した新しいコンサルティングに挑戦したいという方は、以下の記事が参考になります。
②人材開発部門へ移動
人材コンサルタントの知識と経験は、企業内の人材開発部門でも活かせます。人材紹介で培った市場動向や競合分析の経験は、企業の採用活動において、的確なターゲット設定や効果的な採用戦略立案に役立つスキルです。
また、求職者とのコミュニケーションで培ったヒアリング力やプレゼンテーション力は、社内人材の採用、育成プログラム開発の際に効果を発揮します。人材開発部門で積み重ねた経験を基に、人事部長などの管理職も目指す道も開けるでしょう。
③キャリアカウンセラーとして独立
人材コンサルタントの経験を活かし、キャリアカウンセラーとして独立する道を選ぶ人もいます。一般的には、国家資格であるキャリアコンサルタントを取得し、個人のキャリア支援に特化したサービスを提供するというスタイルです。
独立することで、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を実現でき、さらに、十分な実績と信頼を築ければ、収入面でも大きな成長が期待できます。ただし、独立当初は収入が不安定になる可能性もあるため、事業計画や資金計画をしっかりと立てて臨みましょう。
人材コンサルタントへの転職成功のコツ
最後に、人材コンサルタントへの転職成功のコツについて解説しましょう。
- 自己分析を徹底的に行う
- 人材コンサル専門の転職エージェントを利用する
①自己分析を徹底的に行う
人材コンサルタントへの転職を成功させるには、自分自身を正しく理解することが重要です。自身の強みや弱み、価値観、キャリアの方向性を明確にすることで、面接でも自信を持って話せるようになります。
ただし、自分一人で客観的に評価するのは案外難しく、自分の希望や理想を反映させるケースも少なくありません。ここで重要なのは、自己分析の限界を認識し、他者の視点を取り入れることです。
第三者目線での評価は、自分自身の市場価値を正確に把握し、より的確なキャリアプランを構築します。具体的かつ効果的な戦略を立てるためにも、積極的に他者の意見に耳を傾け、自身の評価に取り入れましょう。
②人材コンサル専門の転職エージェントを利用する
第三者の視点を得る手段として、人材コンサル業界に精通した転職エージェントの利用もおすすめです。
自分自分が転職したい業界のサービスを使うことに抵抗を感じる方がいるかもしれませんが、転職エージェントは業界の最新動向や求められるスキルを熟知しており、適切なアドバイスを提供してくれます。
また、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策なども受けられるため、転職成功率を高めたい方にとってもおすすめのサービスです。ぜひ、自分の強みを最大限に活かせるキャリアを見つけるためにも、エージェントからのフィードバックを活用してみてください。
コンサル人材についてまとめ
人材コンサルタントは、クライアント企業と求職者をつなぐ重要な役割を担い、やりがいが大きい魅力的な職種です。業務量の多さや数字目標のプレッシャーでハードな一面もありますが、対人関係が得意な方であれば比較的スムーズに活躍できるでしょう。
転職成功には徹底的な自己分析と専門エージェントの活用が重要になります。ぜひ自分の強み・弱みを明確に把握したうえで、未来を大きく開く新たなキャリアを築いてください。
