今注目のAIの中の技術の一つであるディープラーニング。AIに関連する技術には機械学習など様々なものがありますが、中でもディープラーニングとはどんな技術なのでしょうか。
ここではディープラーニングの仕組みや活用方法について解説します。
ディープラーニングとは
まずディープラーニングとはどんな技術なのでしょうか。概要から紹介します。
データを解析し高度な分析ができる技術
ディープラーニングとは日本語に訳すと深層学習と言い、その名の通り通常よりもデータを解析する際の層を深く複雑にすることでより高度な分析ができる技術であり、大量のデータの中から共通点を探すことに長けています。
そして見つけた共通点から予測を行うことができるのがディープラーニングであり、多くの分野でディープラーニングの技術が使われています。
ディープラーニングの原点
元々ディープラーニングは「人間の脳の仕組みをコンピュータで再現することはできるのか」という疑問から始まりました。そしてこの考えから登場したディープラーニングの原点が、1958年にローゼンプラットが提唱したパーセプトロンという技術です。
これは入力値に関係なく事前い決められた答えにたどり着くためのパラメータを推定するものでした。ちなみにこの技術は初めて人間の神経細胞を模した人工神経回路網として作られたもので、1960年代のニューラルネットワークブームの火付け役となりました。
しかし、パーセプトロンは非線形の問題を解決できないという問題を抱えており、一旦ニューラルネットワークの研究は下火になります。
ただ、従来のニューラルネットワークの構造は入力と出力の2層だけでしたが、その間にもう一層(中間層)を加えることで、この非線形の問題を解決できないという問題を解決することに成功します。
そして2006年以降にヒントンが中間層を2層以上にした複雑な構造でも学習を進められるようになり、ディープラーニングが一気に世に広まることになります。
ディープラーニングの仕組み
ディープラーニングとは、入力層・中間層(隠れ層)・出力層の3つの層で構成される、人間の神経細胞を模した構造を再現し、予測を行う技術を言います。
他の技術と比べると中間層が複雑になっているのが特徴で、中間層を複雑にすればするほどより複雑な解析が可能になります。
ディープラーニングの入力層
入力層はその名の通りコンピュータが判断するための情報を入力する層を言います。ここではAさんが購入するソファを予測すると仮定します。
この際、まずソファにはどんな色やどんな形があるのかをコンピュータに教えなければいけません。そこでその情報をインプットするための層が入力層です。
ディープラーニングの中間層
次に中間層は入力された情報から予測するための層に当たります。この層ではAさんがどのくらいの大きさや色、形のソファがほしいと思っているか、選ぶにあたっては色や形など何を重視するのかなどの情報を元に判断を行います。
ちなみにディープラーニングにおいて、この「何を重視するのか」という点を「重み」と言います。
ディープラーニングの出力層
そして出力層は中間層で分析した結果をもとにした結果を出力する部分に当たります。
これまでの例をもとにすると、中間層でんお分析結果をもとに最終的にAさんはどんなソファを購入するか、判断結果を出力するのが出力層です。
ディープラーニングの導入・活用方法
それではディープラーニングはどのような場面で導入・活用されているのでしょうか。そもそも現代ではどの分野においても大量のデータ活用が必要とされており、ディープラーニングは多くの分野で活用されています。
例えば、金融業界ならユーザーのデータをスコア化してローンの審査を自動化する、過去の株価のデータからその後の値動きを予測するなど。また、製造業なら製造工程の自動化や除外品の検知作業など。このようにデータが大量に蓄積されていれば幅広い分野でそれを予測に活用できます。
AIやディープラーニングは大きな可能性を秘めています。しかし、その導入には適切な計画と準備が必要です。
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ディープラーニングと人工知能や機械学習はどう違うの?
ディープラーニングと混同されやすいのが人工知能や機械学習です。これらは大量のデータを処理する際に使われる技術ですが、厳密には違いがあり、特にデータサイエンスを学んだり業務で使用したりする場合はハッキリと違いを理解しておく必要があるでしょう。
それでは、人工知能や機械学習とはどんなものなのか、ディープラーニングとはどのように異なるのか解説していきます。
人工知能とは
人工知能とはその名の通り、人間の脳を模したシステムやサービスを作ろうという概念やその技術のことを言います。
ちなみに現代でよく耳にするAIとは人工知能を英語に訳したArtifical Intelligenceの頭文字を取った言葉です。
ディープラーニングと人工知能の関係は、人工知能を実化塗るための技術の一つとしてディープラーニングが存在します。そのため、ディープラーニングと人工知能は別物ととらえる必要はありません。
機械学習とは
機械学習とは、与えられたデータの中から共通項を見つけ出し、その情報を元にシステムなどで一連の作業を自動化する仕組みや考え方のことを言います。
この機械学習の特徴はディープラーニングと似ており、実際にディープラーニングは機械学習の一種と捉えられています。
先ほど紹介した人工知能と並べると、人工知能>機械学習>ディープラーニングという関係性であると言えるでしょう。
機械学習とディープラーニングの違いに関しては、協会が曖昧なので、実際に機械学習がディープラーニングとして取り扱われてしまっていることも少なくありません。
機械学習は少なくとも人間からデータの特徴を掴むためのヒントを与えられないと解析ができないのに対して、ディープラーニングはヒントがない状態でも自力で共通項を見つけられるという違いがあり、この違いを元に判断すると良いでしょう。
機械学習とディープラーニングの動作の違い
例えばその部屋の状況や人間の指示によって部屋の電気を点けたり消したりできるシステムを作るとします。機械学習の場合は例えば家主が帰宅した途端に「電気を点けて」など決められた言葉を発したら、その言葉に反応して部屋の電気をつけることができます。
そして学習を重ねていくと、ただ「電気を点けて」という言葉だけでなくこの言葉が含まれる文章を話したときにも反応して自動で部屋の電気を点けられるようになります。
対してディープラーニングの場合はセンサーなどを組み合わせれば、ただ「電気を点けて」という言葉に反応する以外の指示されていないことも広がります。
例えばセンサーを組み合わせれば「暗い」など家主が部屋の電気を点ける際に発する言葉やいつも電気をつける外の明るさなど他の情報も把握できるでしょう。
そしてディープラーニングではこれらの情報から自分で今は電気をつけるべきかどうかを判断して、自動で電気を点けたり消したりすることが可能になります。
このように先ほど解説したようにディープラーニングは中間層を複雑にすればするほど、自分で考えて判断できることの幅が広がっていくのが特徴であり、それ対して機械学習ではそれができません。
これだけ見ると機械学習は劣っているもの捉えるかもしれませんが、使用するシステムによっては機械学習レベルの機能で十分なことも多いです。
そのため、機械学習とディープラーニングに関してはただどちらが劣っているなどと考えるのではなく、開発するシステムにどれくらいの思考の深さが必要になるのかを考えて適切な技術を導入しましょう。
自分で考えられる人工知能がディープラーニング!
人工知能に関連する技術の中でも特に入力層・出力層の他に中間層が存在し、その中間層が複雑になればなるほど、人間の複雑な思考により近づけることができるのがディープラーニングです。
ヒントを与えなくても自力で共通点を見つけて情報を処理できるものであり、未来のことを予測したいなどといった場面ではぜひディープラーニングを活用してみてください。