AIを導入するためには、費用が必要です。ただ、AIを導入したことがないため、具体的な費用がわからないという方も多いでしょう。そこで、AIの導入費用は大体いくらくらいなのか、AIの導入で黒字にするにはどういった計算が必要かなどを解説していきます。
AIの導入費用の目安
AIを導入する場合、フェーズは大きく4つに分かれます。ヒアリングやコンサルティングを行う構想、実装可能かどうかを確かめるPoC検証、開発を行う実装、導入後の運用です。そして、それぞれのフェーズで、導入費用が発生します。
構想フェーズ
構想フェーズでは、ヒアリングには費用がかからないことが多いですが、コンサルティングからは有料となり、相場はおよそ40万円から200万円です。
PoC検証フェーズ
PoC検証フェーズでは、検証用のプロトタイプの有無で費用が異なります。プロトタイプなしだと50万円から100万円、ありの場合は100万円から数百万円が相場です。
実装フェーズ
実装フェーズの費用は、開発するAIの内容によって、50万円から300万円程度と大幅に変わります。そして、その費用は1人当たりの月額目安であるため、AIが完成するまで人数分が加算される形です。
運用フェーズ
AI導入後の運用フェーズも同様に月額制となっていて、毎月費用を支払わなければなりません。運用費はAIによって大きな差があり、50万円で済む場合もあれば、300万円以上かかることもあります。
AIプロジェクトで利益を出すための計算方法
AIプロジェクトで利益を出すためには、下記のような計算が大切です。
AIプロジェクトで計算の基本となるROI
高額なAIを導入するためのプロジェクトを立ち上げる場合、投資額が高いことが原因で赤字になりやすいです。そのため、黒字になるよう、あらかじめ計算しておかなければなりません。基本的には、AIプロジェクトにかかる費用よりも、AIの導入後に、AIのおかげで増えた利益分が上回ることを目指します。そうすると、黒字になったという判断が可能です。
その判断をするための指標となるのは、ROIです。「Return On Investment」の略で、投資に対していくらの利益を出すことができるかを表します。ROIは、「利益÷投資額×100」という、単純な式計算で算出することが可能です。そして、ROIが100%以上であれば、即座に黒字になるという判断が可能です。0%から100%未満だと、複数年をかけて投資分を回収し、最終的には黒字になります。もし、ROIが0%を下回ってしまうようであれば、赤字になって、投資分も回収できないという判断をしなければいけません。よって、AIプロジェクトの費用を減らすことができないのであれば、利益を増やして、ROIが0%よりも高くなる計算をする必要があります。
AIプロジェクトにおいて、ROIを算出する際には、何が利益になるのかを明確に数値化することが大切です。AI導入によって削減できる人件費や、AIの導入で高まる労働生産性、AIのおかげで回避できる損失などが利益の対象となります。利益計算では、都合の良い希望的観測を伴いやすいですが、確実に黒字にするためには現実的な計算をしなければなりません。
AIによって削減できる人件費
AIが人に取って代わることで、人件費を削減できることが多いです。その人件費の基本計算は簡単で、「給与×人数」で算出できます。正社員雇用している従業員分を削減できる場合は、給与だけでなく社会保険料も計算に加えられるでしょう。また、企業によっては福利厚生費も、削減できる人件費に含まれます。
生産性の向上で生まれる利益
人の代わりとなるAIを導入すると、素早い計算や動作によって、短時間で作業が済むことが多いです。また、人の作業スピードを高めることもできます。そうして、生まれた時間に新しい作業を追加することで、より多くの生産が可能です。そのような生産性の向上で生まれた利益も、ROIの計算に加えられます。AI導入前の利益と、導入後の利益をそれぞれROIの計算に加え、比較すると良いでしょう。AIの導入で生産性のみ改善できるのであれば、ROIを使用せずに計算するという方法もあります。生産性は、「生産量または付加価値÷労働投入量」で計算可能です。労働投入量の部分に、AI導入前のコストと導入後のコストをそれぞれ加えて計算し、比較すると良いでしょう。
AIによって回避できる損失
AIは、人よりも正確な作業を行うことが可能で、人のミスを減らせる場合もあります。そうして、製品の不良やトラブルが原因の損失を回避できるのであれば、その損失分は実質的な利益と捉えることが可能です。そのため、過去のデータを参考にして、いくらの損失が生まれているのかを把握しましょう。その損失を、AIの導入によって確実にカバーできるのであれば、ROIの計算に加えることができます。製造業などであれば、不良品が出る割合が数字で表されていることも多いはずです。その場合は、「総生産額×不良品の割合」という計算で、明確な数字を出せるでしょう。
AIを導入するメリットとデメリット
AIを導入する際のメリット・デメリットはこちらになります。
AI導入のメリット
AIは、人よりも素早く作業をすることが可能です。そのため、人の代わりになることで、生産スピードを高められます。そして、正確に作られたAIであれば、作業スピードを高めたとしても、ミスやトラブルがほとんど発生しません。人が作業をする場合、どうしてもミスは発生してしまいます。特に長時間の単純作業は、ミスの発生確率が高いです。そのような単純作業をAIに任せれば、トラブルのない安定した生産を実現できるでしょう。また、単純作業をAIに任せ、人は、人間にしかできない仕事に集中するということもできます。そうして、全体的な生産性を高められるのがメリットです。
AIは、稼働すると共に、データを収集することができます。そのデータを用いて、分析を行えるのもメリットです。分析によって、業務の傾向を把握したり、改善すべき点をピックアップしたりすることができます。分析結果を、マーケティングに活用できることも珍しくはありません。膨大なデータを用いたAIの分析は、精度が高いです。よって、効率的な業務改善や、顧客のニーズに合ったマーケティング戦略の策定ができるでしょう。それが、事業の健全化や顧客の満足度上昇に繋がり、大きな利益を生む可能性は高いです。
AI導入のデメリット
AIを開発するためには、高度なスキルや豊富な知識が欠かせません。そのため、限られた専門家に開発を依頼しなければならないので、初期コストが大きくなりやすいです。そして、AIはすぐに良い結果をもたらしてくれるわけではありません。時間をかけて学習した上で、少しずつ成果が出てくるものです。したがって、初期コストや運用コストを回収できるようになるまで、時間がかかるのがデメリットです。
AIは、インターネットに接続した状態で稼働するものが多いです。そして、大量の情報を取得しますが、その代わりに機密情報をインターネットに流してしまう恐れがあります。そのようなリスクに対して、迅速な対策ができないのもデメリットです。特に、専門家が常駐していない環境だと、AIがトラブルを起こした際に、打つ手立てがありません。専門家に連絡し、説明をする分時間がかかります。さらに、AIは自動で学習するという性質上、一部がブラックボックス化するため、専門家であっても、トラブルの原因を見つけるまでに時間がかかる可能性が高いです。そうして、トラブルにすぐ対処できないことが原因で、問題がより大きくなってしまうかもしれません。
利益を出すために事前の計算が大切
AIを導入する目的は、生産性の向上や正確な作業の実現など色々ありますが、そのほとんどが利益に繋がります。そして、最終的に、利益で黒字になれば、AI導入は成功と言えるでしょう。ただ、AIは決して安くはありません。したがって、導入前に、期待できる利益を計算して、コストと照らし合わせるようにしましょう。
今回紹介した内容を参考にして、ぜひAIの導入を進めてみてください。
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