AIの技術は、車の自動運転やお掃除ロボットなど、私たちの生活にも身近な存在になってきました。
建設・土木などのモノ作りの現場や金融業、サービス業など幅広い分野でAI導入が加速化していますが、「AIプロジェクトをどのように進めてよいか分からない」という企業もあるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、AIプロジェクトの進め方および失敗しないためのコツについて解説します。
AIプロジェクトとその目的
AIプロジェクトとは、AIの技術を自社の事業に導入する取り組み・計画のことです。
AIを一気に導入すると、運用段階でコストや手間がかかるなど、不測の事態に直面することも少なくありません。
AIは即企業に導入すると失敗するというケースも多いので、適切にAIプロジェクトを進めていく必要があるのです。
AIプロジェクトを適切に進めるためには、まず「PoC」という試験的な開発を行い、導入が可能であるかを検討する必要があります。
「PoC」を実践しながら適切にAIを導入すると、社内のシステムに沿ったAI技術を着実に浸透させることができるのです。
ちなみに、PoCとは「Proof Of Concept」の頭文字を取った言葉で、検証実験という意味があります。
AIプロジェクトの進め方
AIプロジェクトを進める際には、適切な手順を踏んで進めていくことが大切です。
手順1:企画
AIプロジェクトを進めるためには、まず自社が解決したい課題がAIを導入により解決可能であるかを検討することからスタートします。
検討後、AIが必要と判断した場合は、AIプロジェクトを進める際に必要となるデータをそろえましょう。
データがそろったら、AIプロジェクトに参加するメンバーを選出し、各メンバーにAIプロジェクト導入の目的を伝え、目標達成に対して行うべきことを検討します。
その際には、メンバーの責任の所在についても明確化しておくと良いでしょう。
手順2:PoC(検証)
次に、PoC(検証)を行います。
PoCは、まず企画の段階で掲げたAIプロジェクトの目標達成に向けて、導入が実際に可能であるかを調査することからスタートしましょう。
具体的には、モックアップといわれるAIの模型を作成し、想定通りのAIが開発できているかを検証します。検証の際には、
- オペレーションができているか
- データの量が十分であるか
- AIのディープラーニングが適切に機能しているか
などをチェックするようにしてください。
手順3:実装・開発
次に、PoCで作成したモックアップを基にして、実際に導入可能なAIを開発していきます。
実装・開発の段階では、AIが自社で確実な効果を発揮するために必要とするデータを収集します。
ちなみに、実装・開発では、企画で集めたデータよりもさらに多くのデータが必要となるので注意しておきましょう。
必要なデータを収集したら、実際に使えるモデルを開発・作成し、作動できるか否かをチェックします。
同時に、実際の現場においてオペレーションが滞りなく回るかどうかも確認しておいてください。
手順4:運用
最後に、実装の段階で開発・作成したAIを現場に導入します。
現場に導入する際には、
- 適切に運用できているか
- システムが安定して稼働しているか
- 企画段階で目標に掲げた項目を達成できているかどうか
を確認しましょう。モデル制度に改善点が見られる場合には、保守を十分に実行して最新データを学習させ続け、PDCAサイクルを繰り返して調節してください。
AIを運用している期間は継続的にPDCAサイクルを導入し続ける必要があるので、AIプロジェクトの運用・開発まで進めば完了するわけではありません。
ちなみに、PDCAサイクルとは、「Plan(計画) Do(実行) Check(確認)Act(実行)」の頭文字から成る言葉で、品質管理を継続的に行いながら業務を改善していくシステムのことです。
AIプロジェクトはなぜ失敗するのか
AIプロジェクトは失敗することが多いといわれています。
失敗が多いのは、まず目的が明確化されていないこと、事前の準備・調査が十分でないことなどが主な理由です。
AIプロジェクトをはじめる目的が不明瞭
AI導入をはじめる目的が不明瞭であると、AIプロジェクトが失敗してしまうことが多いです。
例えば、何かの業務を効率的に進めたいという目的を持っていたとしても、AIプロジェクトが明確な目標に落とし込む内容になっていないというケースなどがあります。
事前の準備・調査が十分でない
AIプロジェクトを行う際に事前の調査が十分でないと失敗する可能性が高まります。
AIプロジェクトを実行するためには、実際に業務フローに乗せる際に必要となるデータがなくてはいけません。
もちろん、目標を設定する段階でデータを収集しますが、意外に抜け落ちていることが多いのです。
例えば、顧客の解約を防止するための予測モデルを作成した企業があったとしましょう。
しかし、その企業が分析をはじめようとしたときに、顧客がすでに解約していれば顧客データを得ることができなくなっています。
このように、いざデータを欲しいと思ったときに入手できなくなっていたというケースも見られるのです。
AIプロジェクトを失敗させないコツ
AIプロジェクトを失敗させないコツは、先述したようにAI導入の目的を明確な目標に落とし込むこと、事前に十分調査・準備しておくこと、現場から適切な協力を得ることです。
これらの行動を確実に実行するためには、SMARTやCRISP-DMと呼ばれるフレームワークやプロセスモデルを利用すると良いでしょう。
SMARTの法則を利用
AIプロジェクトを失敗させないためには、SMARTというフレームワークの法則の利用をおすすめします。
SMARTとは、「Specific(具体的)、Measurable(計測する)、Achievable(達成可能)、Related(全社的な目標)」の頭文字から成る言葉で、その名の通り目標を具体的に達成するための指標です。
SMARTにプラスして、Time-bound(時間制限を設ける)を設定して立ち上げると、AIプロジェクトを失敗する確率がさらに削減します。
CRISP-DMを利用
CRISP-DMというデータのプロセスモデルを利用することも、AIプロジェクトを失敗させないコツとして挙げられます。
CRISP-DMとは「Cross-industry(異業種)、standard process(標準処理)、data mining(データを網羅的に適用するための知識)」の頭文字から成る言葉です。
CRISP-DMは、まずビジネス課題を理解することからはじめます。
次に、分析のベースとなるデータについて理解しますが、その際には関係者とコミュニケーションを密に取り合うようにしましょう。
コミュニケーションを取る際には、可視化されたデータを利用する進め方もおすすめです。
現場から適切な協力を得る
AIプロジェクトを失敗させないためには、現場から協力を得ることも大切です。
当然ですが、現場の協力がなければばAIプロジェクトはスムーズに進みません。
しかし、経営層起点でAIプロジェクトを進めてしまうと、現場で働く従業員から反発される可能性があります。
現場から協力を得るためには、プロジェクト立ち上げの初期段階で現場にヒアリングを行うこと、AI導入の目的を明確に伝えることが大切です。
また、AI人材が不足していれば現場から適切な協力を得ることができないので、AIプロジェクトの立ち上げ前にAIエンジニアやAIプランナーなどの人材を育成しておきましょう。
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AIプロジェクトの進め方についてのまとめ
AIプロジェクトは、まず企画からスタートし、次に検証、開発、運用と手順を踏んで進めることが大切です。
AIプロジェクトは失敗するケースも少なくはないので、失敗しないためのコツを知った上で導入するようにしましょう。