変化の激しいビジネス環境を勝ち抜いていくには、デジタル技術を積極的に活用したDX戦略が不可欠です。したがって戦略の推進力となる優秀なDXエンジニアの確保は、企業が優先的に取り組むべき重要事項と位置付けられます。しかしDXスキルを身に着けているエンジニアに関してはまだ十分に育成されていないのが実情です。この記事では、DXエンジニアの育て方についての方法や、スキルアップをはかるサービスなどについて紹介します。
DXエンジニアとは
DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略語で、企業がデータとデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルのあり方を変革し、事業の優位性を確立していく一連のプロセスをさすものです。DXの導入は、製品やサービスといったプロダクトそのものだけでなく、企業文化や風土、社会のニーズの変化に至るまで強い影響力をもたらすものとされ、今後のビジネス展開には不可避となる重要な戦略要素と位置付けられています。
企業におけるDXの主な活用事例としては、データを自動解析して学習することでビジネスプロセスの最適化などに利用される人工知能(AI)や、取引情報を分散して保存することで、信頼性とセキュリティの高いデータ管理を可能とするブロックチェーン、複数のサーバーを接続し、データをやり取りすることで、コスト削減や柔軟なシステム構築が可能となるクラウドコンピューティングなどが挙げられます。さらに、ユーザーの声や要望を収集し、マーケティング戦略作りに活用されるソーシャルメディア、センサーデータを収集・解析し、消費者のニーズを把握することで新たなビジネスチャンスを生み出すモノのインターネット(IoT)なども広く取り入れられています。
このようなDX戦略に欠かせないのが、DXエンジニアの存在です。
優秀なDXエンジニアの役割
DXを効果的に活用するためには、特性に合わせた役割分担を行ってポイントを明確化する必要があります。このポイントに沿って、DXエンジニアの役割は「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」という5つに分類されるのが一般的とされます。
- 「ビジネスアーキテクト」は、DX戦略の司令塔のような役割で、戦略の目的を設定したうえで各部門をコーディネートし、プロセスの進行管理を行いながら目的を達成させる人材をさします。
- 「デザイナー」は、会社の方針やユーザーの声などを総合的にまとめて開発プロセスを策定し、製品やサービスに関するイメージの設計を担う人材をいいます。
- 「データサイエンティスト」は、データの収集・分析を行って、DXのデータ活用戦略を推進していく人材となります。
- 「ソフトウェアエンジニア」は、デジタル技術を活用した製品やサービスを提供するためのソフトウェアの設計・開発、管理などを行う人材です。
- 「サイバーセキュリティ」は、デジタル技術の脆弱性をついて外部から仕掛けられるサイバー攻撃のリスクを排除するなど、セキュリティ面での対策を計画実行する人材となります。
また、このような分類のもとで優秀なDXエンジニアとなるためには、特定のスキルを持っていることが必須条件となるでしょう。「総合的なITスキル」「先進技術に対応するスキル」「プロジェクトマネージメントのスキル」がその主要スキルです。
- 「総合的なITスキル」は、業務のIT化を主導していくうえで欠かせない項目です。たとえば業務プロセスの分析やシステム設計・構築・運用、Webやアプリケーション、サーバーなど、ハードウェア・ソフトウェアの選定、セキュリティシステムの仕組みなど、広範な分野への正確な知識を持っていることが不可欠です。
- 「先進技術に対応するスキル」は、チャットAIをはじめ、ブロックチェーン、VR、5Gなど、日進月歩のデジタル技術に遅滞なく対応できる能力をさしています。これらの領域をいかに自社のビジネスに落とし込むことができるかという先見性が試されます。
- 「プロジェクトマネージメントのスキル」が必要とされるのは、DXが今や単一部門だけで完結する特定のプロジェクトに留まらず、各部門を巻き込んだ大型プロジェクトとして組織管理にまで規模を広げ始めてきたからです。複数の関係者間の調整を行い、目的に沿って事業を迅速に推進するためには、マネージメント能力が欠かせないスキルとなります。
DXエンジニアの育て方4選
多くの企業がDX化へと舵をきり始めたため、DX人材への需要は高まる一方で常に人材不足の状況です。そのため、外部から招へいするのではなく、社内でDXエンジニアを育成しようとする動きも出てきています。DXエンジニアの社内での育て方としては、「座学」「OJT」「外部研修」などの方法を取るのが一般的です。
- 「座学」では、DXエンジニアになるための基礎知識や心構えを学習します。“ハンズオン”といわれる体験学習や専門の外部講師を招いての講義がよく用いられる方法です。
- 「OJT」は「On the Job Training」の略称で、文字通り実践の中で学んだ技術を試しながらスキルの習得をはかるものです。実際に小さなプロジェクトを立ち上げて、試行錯誤を重ねながら実力をつけるという流れになります。
- 「外部研修」は社内にDXスキルのソースがない場合などに用いられますが、戦力となるDXエンジニアを本格的に育成したいという企業などが積極的に採用するケースも見られます。
では、実際にDXエンジニアとしてのスキルアップをはかる外部サービスとして、4つのケースをご紹介しましょう。
企業向けDX・AI人材育成サービス(CROSS TECH)
CROSS TECHの企業向けDX・AI人材育成サービスでは、「プロジェクトメンバー全体のDX・AIリテラシーの向上」「業務に直結するDX・AIスキルの習得」「効果的なDX・AIプロジェクトの推進」という3つのステップを軸に、未経験者でも最終的に業務内でDX・AIを活用できる人材として育成する支援を行います。企業が抱える問題をヒアリングしたうえで、日常業務と両立させながら短期・長期のプログラムを自由に組んで、経験を積んだコンサルタントが、人材育成から事業サポートまで徹底支援する点に特徴があります。
- AI人材を育成したい方→企業向けDX・AI人材育成サービス
- AIの開発を発注したい方→AI技術コンサルティング 受託開発/PoCサービス
- AIプロジェクトを任されているがどうしていいかわからない方→AIプロジェクト推進サービス
こちらから自社に合うサービスをお選びください。
DXビジネスのためのデザイン思考入門 グループワーク付き(Top Out Human Capital株式会社)
ユーザーの潜在ニーズを追求してその実現化をはかるための「デザイン思考」を集中的に習得する講座です。基本的なスキルを演習形式で身につけて実務で応用できるようにすることを目的とします。必要な事前知識は特に求められないため、DXエンジニアとしてデザイン面に特化した知識を得たい場合には適しているといえます。
DX推進のためのAIビジネス入門(株式会社AVILEN)
AI導入・DX推進を進めたいと考える未経験者が対象になります。まずはAIの基礎的な正しい知識を理解し、AIで何ができるのかを探っていきます。そのうえでAIプロジェクトの企画や推進に役立つ知識・ノウハウについても学んでいきます。AIの基礎を学んだうえでAIが関わるプロジェクトの企画力を磨きたい人には興味深い内容となっています。
MarkeHERO~デジタルマーケティング人材養成講座~(デジタルアスリート株式会社)
デジタルマーケティングの本質的な知識やスキルを習得し、マーケティング活動の手段として活用できる人材を育成する講座です。未経験者でも受講が可能です。「リスティング広告の基礎知識」「Facebook広告の基礎知識」「広告アカウント運用と改善拡大方法」などを集中的に習得していきます。
DXエンジニアは内部で育てるメリットが大きい
諸外国と比較すると、日本の企業はDX化への取り組みが遅れ気味なのが現状です。一方で、デジタル技術は日進月歩で世界を席巻しつつあります。この流れの中で、DX戦略はもはや企業が最優先で取り組まなければならない重要な施策となっています。企業のDX推進者として柱となるのがDXエンジニアです。しかしそのニーズは高く、外部から招へいするという方法は困難を極めます。そのため、やはり自社内でDXエンジニアを育成するという手段がベストの選択といえるでしょう。
自社でDXエンジニアを育成した場合は、社員がもともと経営方針を理解しているため、ポイントを押さえたDX化をはかることが容易になります。時代の流れに沿って自社の製品やサービスをカスタマイズする場合も、柔軟な対応が可能になるという利点もあります。
社内ソースだけで育成するのは心もとない、という場合は外部のDXエンジニア育成サービスも充実していますので、これを利用することも有効です。外部の育成サービスなら最先端のDXスキルを効率よく身につけることもできるため、DX戦略に力強い選択肢の幅が広がることも期待できるでしょう。
DXエンジニアはサービスを使えば社内でも育成が可能
DXエンジニアは新時代のビジネス戦略の推進者として重要なポジションを占める存在です。DXエンジニアは自社内でも育てることができ、外部のDXエンジニア育成サービスを利用すれば、育て方やスキル内容にも幅が広がって、自社の業務に即した優秀な人材を効率よく確保することができるようになるでしょう。